第16回 早わかりクラシック音楽講座 2008/6/1(Sun)

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「神の子アマデウス・最後の交響曲『ジュピター』」

■内容
≪  神の子アマデウス・最後の交響曲『ジュピター』  ≫
第1部:ピアノ生演奏(Piano:愛知とし子)
第2部:ウィーン時代のモーツァルト~絶頂と貧困
第3部:交響曲第41番「ジュピター」を聴く
-お茶とお菓子付-

第1部
□ピアノ生演奏(Piano:愛知とし子)
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲付」
①~第1楽章
②~第3楽章「トルコ行進曲」

モーツァルトのピアノ曲中もっとも有名な「トルコ行進曲」をフィナーレにもつソナタ第11番。この曲は1778年に作曲されたという説、1783年頃だという説など明確な創作時期が不明な作品です。ピアノ・ソナタとはいえ全3楽章を通じソナタ形式で書かれている楽章が一つもない珍しい音楽でありながら随一の人気を誇るモーツァルト畢生の傑作です。

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第2部
□ウィーン時代のモーツァルト~絶頂と貧困
モーツァルトがザルツブルクのコロレド大司教のもとを去り、ウィーンに移住したのが1781年のこと。父親の呪縛から逃れ、以降ますます作品の深みが増し、現在愛好されている数々の傑作が生み出されたのがこのウィーン時代です。売れっ子作曲家としての人生の絶頂と、あまりに音楽のレベルが高くなりすぎたゆえ一般大衆に顧みられなくなり経済的にどん底に突き落とされた最晩年の不遇期。そして家族崩壊と貧困に喘ぐ中作曲された三大交響曲。モーツァルトの最後の10年を俯瞰しつつ、2ヶ月弱という短い間に相次いで創作されたこれらの重要曲を抜粋で聴き、明るさの中に哀しみを秘めたモーツァルトの音楽を聴きました。

参考CD
①交響曲第39番変ホ長調K.543~第1楽章
②交響曲第40番ト短調K.550~第1楽章
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団

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第3部
□交響曲第41番「ジュピター」を聴く
明るく優美さをもつ第39番、悲しみと慟哭の第40番のあとに生み出された「調和」の音楽「ジュピター」交響曲。32歳のモーツァルトが2週間ほどで書き上げた信じられないほどの完成度を誇る傑作です。

①オイゲン・ヨッフム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1981.9.20Live)
全楽章をじっくり聴き込みました。特にこの演奏は前月に亡くなったカール・ベームを追悼して演奏されたもので第2楽章の深沈たる「悲しみ」の表情やフィナーレの高揚感は他の演奏を圧倒する素晴らしさです。

比較試聴(フィナーレのみ)
※クラウス・テンシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団(1980.6.9Live)

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ところで、終楽章の有名な「ジュピター音型(ドーレーファーミー)」。講座の最後には、モーツァルトの人生とともに発展し成長してきたこの「ジュピター音型」をとりあげ、いくつかの音盤を聴きながら、簡単に僕の考える「最良の生き方」について語らせていただきました。
・自分自身の軸(アイデンティティ)をしっかりと安定させること。
・他者と比較しないこと
・人間が不完全であることを認め、自分自身の「短所」を責めないこと、同時に他者の「問題」も認め、受容すること、などなど。

参考CD
①交響曲第1番変ホ長調K.16(1764年)~第2楽章抜粋
②交響曲変ロ長調K.45b(1768年)~第1楽章抜粋
③ミサ・ブレヴィスヘ長調K.192(1774年)~クレド抜粋
ニコラウス・アーノンクール指揮コンセントゥス・ムジクス・ウィーン

④交響曲第33番変ロ長調K.319(1779年)~第1楽章抜粋
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(1960Live)

講座終了後の「懇親会」も本当に楽しかったです。音楽好きが集まり談笑することはいかに楽しいことでしょう。最後は例によってロック音楽についても語ることになり、ディープ・パープルやキング・クリムゾンの音盤を聴きながら深夜まで宴は盛り上がりました。
次回はソ連の生んだ大作曲家ショスタコーヴィチです。お楽しみに!