さくらカレッジ2012年4月講座 2012/5/19(Sat)

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「早わかりクラシック音楽入門講座」
内容
≪ チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」 ≫
第1部:作曲家に関するエピソード、時代背景、音楽について
第2部:バレエ音楽「くるみ割り人形」抜粋視聴+比較視聴
※使用テキスト「オヤジのためのクラシック音楽入門(帯金充利著)」(新泉社)

第1部
□チャイコフスキーの人となり、バレエについて
フォン・メック夫人とのこと、ホモセクシャル疑惑についてなど、彼の生涯、あるいは死については真相が明らかになっていないことが数多くあります。人としてはとてもナーバスで、少しバランスを欠く点があったのかもしれません。
とはいえ、チャイコフスキーの創作する音楽はいずれも美しく、後世の我々の耳を癒すに十分な効果を発揮してくれます。
そんな優れた作品も、多くが初演当時は大衆から受け容れられず、本人も相当意気消沈したといわれています。
今回採り上げるバレエ音楽についても同様。第1作である「白鳥の湖」は今でこそ世界中のステージにかけられ、特に音楽好きでなくとも知っているであろう旋律に溢れており、とても魅力的な音楽ですが、発表当時は全く不評で、結果十数年お蔵入りした代物なのです。お蔭でチャイコフスキー自身もこの分野に関してしばらく封印し、新たなバレエ音楽の創作は1889年の「眠りの森の美女」まで待たねばなりませんでした(この第2作も不評だったのです)。
しかしながら、その優れた作品の真価を理解する人は必ずいるもので、マリウス・プティパという振付家が再演の努力をした結果、大きな成功をおさめ、結果的にそのことが以降のバレエの未来を決定したと言っても言い過ぎではありません。20世紀を席巻するバレエ・リュスの登場もなかったでしょうし、とするとストラヴィンスキーやドビュッシー、ラヴェルなどの名作も当然世に出なかった可能性があるからです。

まずは、管弦楽作品としての「くるみ割り人形」の魅力を知っていただこうと、2009年のヴァルトビューネ・コンサートの映像をご覧いただきました。

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①チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」作品71~序曲、クリスマス・ツリー、行進曲、グラン・パ・ドゥ・ドゥ
サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ベルリンの森での夕暮れ時から夜にかけての幻想的なシーンが見事です。それにまたぴったりの雰囲気の「グラン・パ・ド・ドゥ」の旋律が輪をかけます。
このあと、バレエについて簡単な説明の後、「白鳥の湖」第2幕を抜粋で鑑賞しました。

②チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」作品20(マリインスキー劇場版)
ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団ほか

本当に美しい!バレエの魅力にとりつかれる第一歩になるような舞台です。
5分間の休憩を挟み、メインテーマである「くるみ割り人形」へ

第2部
□バレエ音楽「くるみ割り人形」抜粋視聴+比較視聴
作曲者最晩年の苦悩に対して、そういう暗さを一切感じさせない「くるみ割り」の音楽。
まずは、ボリショイ・バレエの2010年の公演から第2幕のディヴェルティスマン~グラン・パ・ド・ドゥまでを鑑賞。よく知った旋律が立て続けに流れ、ご参加の皆様もその美しさに驚いておられました。

③チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」作品71~第2幕抜粋
ボリショイ・バレエ(2010年)

そして、比較のため1986年の英国ロイヤル・バレエの公演のグラン・パ・ド・ドゥ。

④チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」作品71~グラン・パ・ド・ドゥ
英国ロイヤル・バレエ

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とても素敵なひと時でした。
次回はモーツァルトのピアノ協奏曲第27番を採り上げます。

*主催:すみだ学習ガーデン
*会場:すみだ生涯学習センター