Pink Floyd “Wish You Were Here (Experience Edition)”を聴いて思ふ

pink_floyd_wish_you_were_here何だか本当にトリップ・ミュージックのように思う。
決して危ない意味ではない。発表当時のテクノロジーのレベルを考慮してみると、その完成度はあまりに壮大かつ繊細で完璧・・・。スタジオでのパーフェクトなパフォーマンスと、音楽そのものの出来に、40年を経た現代でも決して誰にも真似のできない作品たちの魔法を浴びるよう。どこをどう切り取っても奇跡。メロディとハーモニーと、そしてリズムが三位一体となり、音楽のジャンルを超え、聴く者の魂を鷲づかみにする。大袈裟だけれど、きっと今後何世紀も聴き継がれるであろう作品を彼らはある一時期に一気に生み出した。特に、分裂前のピンク・フロイドは不滅。

“Shine On You Crazy Diamond”は、シド・バレットに捧げられた楽曲だといわれるが、ロジャー・ウォーターズ曰く、もっと普遍的なものらしい。間違いなく歌詞はシドそのものへのオマージュだが、音楽作品というものは時を経て個人的なものをより超越してゆく。特にロジャーの場合、創造力の源泉は極めて個人的な経験によることが多いように思えるが、そこにはどうやら本人的に絶対に認めたくない傷がありそうだ。しかし、ロジャーが何と言おうと、4人のメンバーでの明らかな共作であり、ロジャーの仄暗いヴォーカルと、リックの瞑想的なキーボード、そしてデイヴの燦然たるギター、その上にニックの芯の安定したパーカッションがあって初めて為し得る妙技であり、ロジャー抜きのフロイドも、リック死後のフロイドも厳密には再現し得なかった名作だと僕は断言する。
9つのパートに分けられたこの音楽はあまりに悲しく、あまりに美しい。

Pink Floyd:Wish You Were Here (Experience Edition)

Personnel
David Gilmour (vocals, guitar, lap steel guitar, EMS Synthi AKS, keyboards, tape effects)
Nick Mason (drums, percussion, tape effects)
Roger Waters (vocals, bass guitar, guitar, EMS VCS 3, tape effects)
Richard Wright (keyboards, EMS VCS 3, clavinet, background vocals)

2分された“Shine On You Crazy Diamond”の間に挟まれた3つの作品がまた重い。
ロジャー作の”Welcome To The Machine”はもとより、デイヴの筆によるタイトル曲”Wish You Were Here”のいかにも懐古的なイントロのアコースティック・ソロについ心惹かれる。シドへの想いはデイヴを同じくなんだ・・・。そして、何とこの作品でヴァイオリンを弾くのはステファン・グラッペリその人(しかし、それはフェイドアウト部分に風の音のエフェクトにかき消されるように収録されているので注意深く耳をそばだてないと聴こえないのだが・・・。ヘッドフォンでよく聴くと間違いなく聴こえる。グラッペリが晩年にユーディ・メニューインと録音したアルバムが懐かしい・・・)。
傑作”The Dark Side Of The Moon”の後の、期待を背負った作品だけに発表当初は賛否両論だったそうだが、僕にとってはフロイドの最高傑作と言っても良いひとつ。

大自然と同期するピンク・フロイド・ミュージックは絶対的・・・。

 

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