山下達郎 PERFORMANCE 2015-2016 40th ANNIVERSARY

上質のポップ・ミュージックは本当に素晴らしい。
達郎さんは気さくで面白く、そして何より想いがある。そのことは自ずと楽曲の全貌に現れるのだけれど、これほどまでに聴衆を、また自身の音楽を大切にする人はいないと確信した。
MCで語られる数多の言葉にいちいち膝を打つ。
ひとつ、一期一会。
達郎マニアは、もはや「クリスマス・イブ」は飽きたからライブではやらなくて良いと訴えるそう。しかしながら、このライブが最初で最後だという人も中にはいるはずで、その人たちのためにも私はこの名曲を今後も披露すると言い切ったあの自信。
デビュー40周年、シュガー・ベイブのあの曲から最近の作品までを網羅した3時間半近く。

大袈裟でなく、生きていて良かったと思った。
達郎さんの音楽に出逢えて良かったとも思った。
そしてまた、今日という日に中野サンプラザの聴衆のひとりであれたことに感謝した。
達郎さんの言葉は素敵だ。世界中が争いにある中で、音楽こそが平和をもたらす術なのだと真面目に語っていたあの声・・・。心から同調した。

山下達郎　PERFORMANCE 2015-2016
40th ANNIVERSARY
2015年11月23日（祝）18時開演
中野サンプラザホール

年齢層の高いだろう満員の聴衆はお行儀が良い。余計な音は一切シャットアウトし、ひたすら山下達郎の音楽に虚心に耳を傾ける。最初から僕は震えた。

・SPARKLE
・DAYDREAM
・Morning Glory
・Windy Lady

これら初期の曲が実にあでやかに、そしてエネルギーをもって演奏される奇蹟。スタジオ録音そのままの音楽が、そして達郎のあの声がデッドなホールに響き渡った。感無量。
そして、あのイントロが・・・。

・Down Town
・土曜日の恋人
・Endless Game
・風の回廊

何と「土曜日の恋人」は聴衆の前で初めて演奏したのだと。「ひょうきん族」世代の僕はその前の「Down Town」から言葉にならなかった。嗚呼・・・。
「Endless Game」の優しさ、そして「風の回廊」のかっこ良さ。僕の80年代が蘇った。
さらには、もう演奏することはないだろうと封印していたシュガー・ベイブ時代の楽曲が披露される。

・すてきなメロディ
・過ぎ去りし日々”60’s Dream”

最高である。
続いて「ベタな曲ですが」と断りつつ、フランキー・ヴァリの名曲「Can’t Take My Eyes Off You」が！！堪らない。

・Can’t Take My Eyes Off You
・DANCER

さらには必殺アカペラ・コーナー。

・Close Your Eyes
・おやすみ、ロージー～Angel Babyへのオマージュ～
・I ONLY HAVE EYES FOR YOU
・WHITE CHRISTMAS～クリスマス・イブ

「クリスマス・イブ」の前奏が鳴り渡った瞬間の鳥肌。そして、東日本大震災の犠牲者のために作られたという「希望という名の光」の重みに感謝した。

・希望という名の光
・さよなら夏の日

また、今後はもう演奏しないだろうというシュガー・ベイブの「SUGAR」に卒倒。あ、その前に、ギターの佐橋佳幸さんの「ソカロ」が演奏されたのだった。美しかった。

・ソカロ（佐橋佳幸ソロ）
・SUGAR
・BOMBER
・LET’S DANCE BABY

ここから観客が総立ちになった「LET’S DANCE BABY」の間奏では、亡き大瀧詠一さんの名曲がメドレーで歌われた。
「びんぼう」にはじまり、「君は天然色」、「夢で逢えたら」、挙句は「熱き心に」などなど・・・。僕の涙腺は最高潮に達していたっけ。
そして・・・、

・アトムの子

イントロに痺れた。手塚治虫氏に捧げられたこの作品は本当に無邪気で明るく、心が晴れやかになった。それに間奏では「アンパンマンの歌」も披露されたことだし。（笑）