ありのまま

brahms_piano_quartet_ma.jpg「ワークスタート第2回支援者フォーラム」に参加した。わずか1時間半ばかりの短い時間だったが、大勢の方との交流の和が拡がり、相応の得るものがあったように思う。そもそも「ワークスタート支援プログラム」とは、働く意欲があるにもかかわらず、「自信がない」などの理由で、一歩踏み出せない若者を、就職活動へとつなげる序奏の役割を果たす講座だという。単にGCDF-Japanの継続学習の意味合いのみで何も考えずに参加したゆえ、ほとんど予備知識なしだったのだが、若者の周辺で起こっている「就職事情」の一端を垣間見ることができ、やはり教育システムの根本から改革していかない限りニ進も三進もいかないところまで来ているのではないかと痛感した。
今日のフォーラムでの支援事例の幾つかを耳にして、結局どんなプログラムをもってしても、多くの場合対症療法的なものに過ぎず、根本的な解決には程遠いように思った。就労に関して悩む若者個人をどれだけフォローしようと、親を含む周りについても同様のフォローが必要で、人間というのは誰もが「関係」の中で存在し、良い意味でも悪い意味でもお互いに影響しあっているのだということを再確認した。

いかに「関係構築」をスムーズに、そして深くできるコミュニケーション能力を熟成させるか、そして「ありのまま」をいかに受け容れるか、それが最大のポイントだろう。

午後は、渋谷のスタジオKASAMOTOにて「ママと赤ちゃんのための本格クラシックコンサート」~ヴァイオリンとピアノ、赤ちゃんと聴く本物の響き~の裏方(ヴァイオリニスト・高橋卓也氏の伴奏を愛知とし子が受け持ったため)。
アメージンググレイスやトゥーランドット、ジュピターなど、誰もが知る旋律を室内楽風にアレンジしたとても穏かでそれでいて迫力のある演奏会だった。昨晩の激しい雨などどこ吹く風、信じられないような快晴で、大勢のお客様にご来場いただき、喜んでいただけたようだ。

それにしても、自分が意外に「過去のこと」に対して諦めが悪いことにあらためて気づいた。振り返るまいと決心しても、ついつい気になってしまう。溜め込むことなかれ。捨てないことには新しいものは入ってこないのだから。

ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25
エマニュエル・アックス(ピアノ)
アイザック・スターン(ヴァイオリン)
ハイメ・ラレード(ヴィオラ)
ヨーヨー・マ(チェロ)

若きブラームス(28歳!)のクララ・シューマンへの愛の告白の1章。第1楽章と第2楽章は彼女に捧げられており、初演もクララのピアノによって為されている。多分に厭世的な印象も受けるが、それはあくまで表面的なカモフラージュに過ぎない。よくよく耳を傾けると、第1楽章の第1主題などブラームスのクララに対する「深い愛情表現」が聴いてとれる。
4人のソリストは、個々が主張し過ぎず、かといって引っ込み過ぎず、絶妙のバランスでブラームスの音楽を創出してゆく。とても臨時の編成とは思えないほど息が合い、間合いの取り方も絶妙だ。

本日、ただありのままの現象を見つめること。


2 COMMENTS

雅之

シューマン好きの私としては、クララ・シューマンへの愛の告白を感じるブラームスの諸曲には、ちょっと複雑な気持ちになります。それでも、いい曲ですね。
ヨーヨー・マとアックスの参加した一連の録音には、何枚も名盤がありますね。ショパンチェロ・ソナタの録音なども実にいいです。ヨーヨー・マは必ずしも好きではありませんが、この演奏も、やはり名盤だと思います。

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おかちゃん

>雅之様
こんばんは。
確かに複雑でしょうねぇ。僕はどちらかというとブラームス派なんです。ブラームスが残した一連の室内楽曲はどれも見事ですね。
ヨーヨ・マ&アックスは、もちろん聴かれていると思いますが、ショスタコのソナタもいいですよ。

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