アーリー大瀧詠一(1982.12.21発売)を聴いて思ふ

early_eiichi_ohtaki630言葉というのは難しい。
ともすると発した本人の意図から外れ、予想もしない解釈をされ、それが独り歩きしようものなら大変なことになる。
言葉というのは本当に難しい。

それでも一世一代の胸を打つ詩がある。
このメロディには、この音楽にはこの言葉しかない。あるいは、この言葉にはこういう旋律がベストだと、大瀧詠一、そして松本隆の言葉の選び方の妙。

例えば、江戸門弾鉄名義での「恋の汽車ポッポ」。

野を越え 山を越え
〇〇〇〇〇〇で ひとっとび

〇〇〇〇〇〇の メロドラマ
急いで 〇〇〇〇〇〇ポ

書きたくても書けない天才技。
そして、松本名義の「それはぼくぢゃないよ」。

〇〇〇〇〇〇を 溶かしながら
きみは眠っている 〇〇〇〇〇〇さそう

よくもこんな情景が端的な言葉の羅列で描写できたものだ。しかも、ここのパートの旋律は大瀧詠一の真骨頂。

〇〇〇〇〇〇ゆれる コーヒーポットに

さらには、湯気に「うす紫」を見たその感覚!!
大瀧詠一の詩もまた一層シュールだ。

宝くじ 〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇た金がザクザク
だけど びんぼう 〇〇〇〇〇〇んぼう
びんぼう びんぼう 〇〇〇〇〇

これほど直接的な言葉で、しかも何とも自虐的でありながら意味深いこういう詞はなかなか書けまい。

アーリー大瀧詠一

「指切り」の松本隆の詩が最高。大瀧詠一の曲も然り。

〇〇〇〇〇〇 鋭い爪で
蜜柑の皮を 〇〇〇〇〇〇ど
〇〇〇〇〇〇 尻切れ蜻蛉

嗚呼・・・、日本語の響きの持つ奥深さに感服せざるを得ない。
ちなみに、ベルウッド・レコードの10周年記念としてリリースされたこのベスト盤には、シュガー・ベイブ(山下達郎、大貫妙子、村松邦男、小宮康裕)をコーラスに配したココナツ・バンク(大瀧詠一、伊藤銀次、駒沢裕城、藤本雄志)による文京公会堂での2曲のライブ録音(1973年9月21日)が収録されている。凄過ぎ。

「空飛ぶクジラ」や「ウララカ」、そして「サイダー」をうまくメドレーにした「空飛ぶウララカサイダー」の陽気なロックに乾杯。何という素敵なセンス!!あまりにかっこ良い。また、ハワイアン風のインストを持ち、ココナツとだけコーラスが繰り返す「ココナツ・ホリデイ」の斬新さ!偉大なり。

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3 COMMENTS

雅之

「恋の汽車ポッポ」の歌詞で私が連想するのは、「線路は続くよどこまでも」原詩での、別な男の視線。

「俺は線路で働いている」(邦題:鉄道稼業)

俺は線路で働いている
まる一日中だ
俺は線路で働いている
あっという間に時間が過ぎてゆく

警笛が鳴り響くのが聞こえるだろ
こんな朝っぱらから起きろってさ
親方の叫び声が聞こえるだろ
ダイナ、ホーンを吹き鳴らせってさ

ダイナ、吹き鳴らしてくれ
ダイナ、吹き鳴らしてくれ
ダイナ、吹き鳴らしてくれ、お前のホーンを
ダイナ、吹き鳴らしてくれ
ダイナ、吹き鳴らしてくれ
ダイナ、吹き鳴らしてくれ、お前のホーンを

誰かがキッチンにダイナと居る
誰かがキッチンに居る、俺は知ってるんだ
誰かがキッチンにダイナと居る
あの古いバンジョーをかき鳴らしてるんだ!

歌ってやがるぜ、フィ、フィー、フィドリーオって
フィ、フィー、フィドリーオー
フィ、フィー、フィドリーオ
あの古いバンジョーをかき鳴らしながらな

誰かがダイナと愛し合ってる
誰かが愛し合ってる、俺は知ってるんだ
誰かがダイナと愛し合ってる
あの古いバンジョーが聞こえないからな

(Wikipediaより)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%9A%E8%B7%AF%E3%81%AF%E7%B6%9A%E3%81%8F%E3%82%88%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%82%82

「線路は続くよどこまでも」が本当は「猥歌」だってことも、博学多識な大瀧さんは、ずっと大昔からよく知っていたに違いありませんね。

早くベイビイ 浮気なベイビイ・・・、♩羨ましいぜ、ピストン運動!♩♩♩♩♩(笑)

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岡本 浩和

>雅之様

こんばんは。

>「線路は続くよどこまでも」が本当は「猥歌」だってこと

どこかで聞いたことありましたが、そんなことはすっかり忘れていました。
それを知ったうえで聴く「恋の汽車ポッポ」はまた一味違います。

松本&大瀧のコンビは唯一無二ですね。

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