“Queen II”(1974)を聴いて思ふ

queen2638先日、惑星番号17473の小惑星が「フレディマーキュリー」と名づけられたという。ロック・ミュージック界指折りの名シンガーの名前が永遠に残ることに僕は喜びを禁じ得ない。
それにしても彼がこの世からいなくなって早四半世紀が過ぎようとしている。

静寂の時間とともに自分と向き合った。
時には「静けさ」が必要だ。

ジョルジュ・ドンがエイズで死んだのは1992年11月30日のこと。衝撃だった。悲しかった。今でもその日のことは忘れもしない。その1年前、1991年11月24日には、フレディ・マーキュリーも同じ病で命を落としていたからなおさらだった。あの日のことも僕は生涯忘れないだろう。

世界が相対で成立していることをクイーンは歌った。
強力なエネルギー、強烈なパワーに圧倒されつつ、一世一代のバンドの底なしの潜在力を、2番目のアルバムを初めて聴いたとき僕は感じた。
おそらく彼らは(無意識下で)真実を知っていた。
あれから30余年が経過するが、その時以上に今また僕は感銘を受ける。

ああ、深い悲しみの霧に包まれ
白を纏った女王ひとり歩む 漆黒の闇は蒼色に姿を変え
その美しい髪には無数の星々がきらめく
「ホワイト・クイーン」

背後から聞こえる声が私に思い出させる
さあ、その翼を広げるがいい―お前は天使
忘れてはならぬ 光と同じ速さで、これを届けることを・・・

この左手で私は国を統治し この右手で私は国を支配する
私はすべての闇を支配する君主 私こそは夜の女王なり
この権力に逆らえる者は誰一人としていない
いざ、始めよ―黒き女王の行進を・・・
「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」

地に堕ちれば天使すら権力と支配に魅せられるということ。
僕たち人間ならなおさら。世界を平和に導く解決方法は「愛」だとフレディは叫ぶ。

愛とは不思議なもの 見渡せば至る所に姿を潜めている
愛とは不思議なもの お前が目指すところ 愛は存在している
愛とは不思議なもの 全ての歌 全ての音階に含まれている

愛はあらゆる物に姿を変えて訪れる
愛とはそんなもの・・・
「ファニー・ハウ・ラヴ・イズ」

Queen II

Personnel
Freddie Mercury (vocals, piano, harpsichord)
Brian May (guitars, vocals, bells)
John Deacon (bass guitar, acoustic guitar)
Roger Meddows-Taylor (percussion, vocals)

録音から43年を経て色褪せない波動。
今さら僕が何かを語るまでもない。
音楽は時間と空間を超え、迫る。
ただただ、クイーンの音に浸る・・・。
思わずウィリアム・シェイクスピアのソネットをひもといた。

私には二人の恋人がいる 一人は慰めでもう一人は絶望
これが二つの精霊のように たえず私をそそのかす
いいほうの天使は 金髪で色白の美しい男
悪いほうの妖怪は 色浅黒いまがまがしい女

女の悪霊は すぐにも私を地獄へ引きずり落とそうと
いいほうの天使を 私のそばからおびきだし
醜い情欲で天使の純潔をくどき落とし
私の聖者を堕落させ 悪魔に変えようとする
「ソネット144番 天使と悪霊」
関口篤訳編「シェイクスピア詩集」(思潮社)P56

とらわれの心をいかに超えるかが鍵である。
世界は自分自身との闘いだ。

※太字歌詞対訳は山本安見

 

ブログ・ランキングに参加しています。下のバナーを1クリック応援よろしくお願いいたします。


音楽(全般) ブログランキングへ


3 COMMENTS

みどり

岡本様

来週、31年ぶりの武道館公演ですね。
ヴォーカルにアダム・ランバートを迎えての新生クイーンだとか…
フレディの声が唯一無二であるとの思い入れが強過ぎるためか
他の声でクイーンを聴くことに決心がつきません。

時代を考えてみると、4人であの厚みのある音を創り出すことに
どれほどの試行錯誤と揺るがない決意があったことかと
今、改めて聴き直しても当時と変わらぬ感動を覚えます。

先日、35年ぶりに『愛と哀しみのボレロ』をデジタルりマスター版で
鑑賞しましたが、スクリーン上のジョルジュ・ドンのなんと美しいこと!

その肉体は失われようとも、作品と思い出は残ります。

岡本さんの発信に触れ、新たに蒔かれた種が、何時か何処かで
芽吹き、花開いて結実し、新たに蒔かれる種となるかもしれません。

まだまだ先は長いですね(笑)
一層のご活躍とご健康を祈り上げます。

返信する
岡本 浩和

>みどり様

同じく今のクイーンには触手が動きません。
やはりフレディが欠けてのクイーンはクイーンにあらず。やはり25年前のあの時点でツェッペリンと同じように潔く解散するべきだったのではと思います。

それにしても「愛と悲しみのボレロ」デジタルリマスターは観ないとですね。
まだまだ先は長いので(笑)がんばります。
引き続きよろしくお願いします。

返信する

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む