舞台に触れること

schumann_demus.jpg成城サローネ・フォンタナの下見に行く。成城学園前駅から徒歩20分ほどの住宅街の一角にある洒落た邸宅内にそのホールはある。何とベーゼンドルファーとヤマハの2台のピアノが据え置かれており、オルガンまで設置されている。管理をされている方にいろいろと話を伺うと、イエルク・デームスの信奉者である元の所有者(彼はデームスのために私財を投じてこの館を造った)が亡くなったのを機に取り壊される憂き目に遭いそうになったのを、(今の管理人さんの)実兄である沖縄県いずみ病院の院長先生が引き継いだものだという。そこでは年に2回はデームスがコンサートを開いているということだが、ベーゼンドルファーらしいまろやかで優美な音を奏でてくれるピアノである。縁があればここを使ってのリサイタルを計画しようと考えている。

下北沢、ザ・スズナリでの劇団ハートランド第13回公演「ペラペラゲーム」(作・演出中島淳彦)を観る。友人のほんだぱんが出演するということで初日に伺った。普段演劇はまず観ない。ほとんど初めての体験とはいえとても面白かった。2時間少々の舞台はあっという間に過ぎ、何だか演劇の世界に少しははまってみてもいいかと思ったほど。その後、同伴したKと下北沢のお好み焼き「ごっつい」で一杯ひっかけ、帰宅は0時過ぎ。なかなか楽しいひと時でした。

シューマン:アルバムの綴り作品124
イエルク・デームス(ピアノ)

090526fontana.jpgデームスに敬意を表してシューマン全集からの1枚。ウィーン3羽烏といわれたデームス、パドゥラ=スコダ、グルダの中では圧倒的にフリードリヒ・グルダが才能豊かであると思う。否、正直デームスもスコダも偉そうに言及できるほど聴き込んでいないので、何も言うことがないというのが本音だ。僕に言わせればデームスはアシュケナージやブレンデルのような存在で、色がない。ただし、元々の所有者が私財を投じてまでデームスのために尽くすほどなわけだから、例によって実演に触れると考えは変るかもしれない。ともかく「生演奏」を知らないということは音楽を語る上で資格がないと言っても言いすぎではない。デームスが演奏するときには案内いただけるとおっしゃっていただいたので、いずれにせよ一度聴いてみよう。

1854年に出版された「アルバムの綴り」。
第8曲「終わることのない悲しみ」が心に染み入る。1837年、クララ・ヴィークとの結婚を誓ったロベルトが、父ヴィークの猛反対で彼女と会うことすらできなかった時期に書かれたシューマンらしい名作。美しい・・・。そして、1845年作の第20曲「カノン」。当時J.S.バッハの作品を研究していた彼が創作したわずか1分強の音楽。かわいい・・・。

演劇にせよ音楽にせよ何でも直接舞台に触れることが大切だ。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>ともかく「生演奏」を知らないということは音楽を語る上で資格がないと言っても言いすぎではない。
まったく同感です。おっしゃるようにデームスは、私もご紹介の録音などでは、いまいちピンと来ません。
デームスの実演を聴かれるチャンスがおありとは、羨ましいです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
雅之さんもデームスのことはあまりよく知らないのですか?
ある意味大御所だと思うので、機会を持って実演に触れたいと思っています。昨日、フォンタナホールにあるデームス愛用のベーゼンをとし子が弾かせてもらったのですが、よく調整されて良い音が出てました。

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ほんだぱん

岡本さん、昨日は来てくださり、またここにも書いてくださって、本当にありがとうございました。
本当に素敵なお話でいい作品に出られて、それをお客様に見ていただけたことが本当に嬉しいです。
>演劇にせよ音楽にせよ何でも直接舞台に触れることが大切だ。
私も心のそこからそう思います。
劇場を満たす空気は、一期一会、そのときだけものです。
そこに自分がどういう状態でいるのかも含めて、一期一会のものだと思います。
音楽はある程度CDなどに曲を記録することが出来ますが、演劇は台本やDVDにすることが出来ますが、実際の舞台の要素は、それも良さはほとんど盛り込むことが出来ません。まだまだ演劇ってマイナーですけど、小劇場でも良質のお芝居はたくさん有ります。ちょっと一杯飲みに行く感覚で見られる小劇場のお芝居を、もっと気軽に楽しんで欲しいな~と感じる今日この頃です。
そのためには、面白い作品を作らなくてはならないですから、私たちつくり手の責任が一番大きいのですけどね。

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岡本 浩和

>ほんだぱん
こちらこそ楽しかったよ。ありがとう。
流石に再演だけあって出来のいい舞台だね。
>ちょっと一杯飲みに行く感覚で見られる小劇場のお芝居を、もっと気軽に楽しんで欲しいな~と感じる
なるほど、これを機会に僕もちょっといろいろと舞台を体感してみたいなと思いました。

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