マジですか!?

janacek_mackerras.jpgまだまだなんだが、最近になってようやく地に足が着き、僕自身が「為さねばならないこと」が一層明確になり、揺るぎないものになりつつある(「なりつつ」というより「なった」と言ったほうが正しい)。

20代から少なくとも30代の前半くらいまでは自分が「何をしたいのか」わからなくて悩み、八方塞に陥ってしまう人が多い。そういう時、藁にもすがる気持ちで、目の前を通り過ぎるあらゆるものに手を出す人がいるが、そうではなくて「今やらなければならない仕事に全力投球する」ことが最善なんだと僕は声を大にして言いたい。そういう時は安易に転職したってダメだ(環境を替えても自分が変わらないわけだから結局意味がない)。もちろん「スピリチュアル」に頼っても無理。今現実に直面している、やるべきことでベスト・パフォーマンスを生み出すこと、それしかない。

30代半ばになって「あなたは何ができますか?」と問われた時、「できること」を持っている人と持っていない人とではその後の生き方に天地ほどの差が生まれる。とにかくスペシャリティを身につけることが重要。そして周囲の負の洗脳(洗脳といえば聞こえは悪いが、誰でもぬるま湯にいれば鈍ってしまうし、常にキャリアアップを考えているような人間が身の周りにたくさんいる環境だと自ずと自分自身も前向きになる)にも負けず、「自律的に生きるという意識」を持ち続けることが大切なのである。

昨晩、前職セミナーの卒業生であるY君と久しぶりに再会し、多分初めてだろうサシで酒を酌み交わしながら歓談し、そんな話題になった。彼の周りは(お陰さまで僕の周りもそうだが)上昇志向の人間が多い。人生のポイントで友人の鼓舞あり、叱咤激励ありで一歩一歩上がってきた階段について事細かに報告を受けたが、大したものである(アップグレード転職をし、かつ仕事をしながら3年間法科大学院に通い、ついに卒業、来年弁護士試験を受けるのだと)。そんな彼も、そして僕自身も、初めて出逢った当時と本質的に何も変わっていない。お互い皺の数が増えようとも、会えば「ヤァヤァ」と13年前にタイムスリップできる。人間の関係とはやっぱり「時空を超えるもの」なんだと痛感する。

蒸し暑い。朝から恵比寿でとあるプロジェクトのミーティングをし、午後は「早わかりクラシック音楽講座」の資料作りにあて、夜は拙宅でOLのための「音浴じかん」。女性限定の催しゆえ、男子禁制。皆はリビングで美味しいものを食しながらワイワイと歓談しているが、我輩は空腹を我慢して仕事部屋で大人しくパソコンに向かっている。嗚呼腹減った(笑)。

ところで、村上春樹の「1Q84」の勢いが止まらないらしい。もちろん僕はまだ読んでいない。小説の中で扱われたヤナーチェクの「シンフォニエッタ」のCD(ジョージ・セル指揮クリーヴランド管)に注文が殺到し、3週間ほどで1万2千枚を新規出荷したのだとか・・・。うーん、「マジですか!」と言いたくなる。もちろんそれによってクラシック音楽ファンの裾野が広がることは素晴らしいことなので、ケチをつけるわけじゃないけど、皆安易過ぎるんだよなぁ・・・。いや、この音楽は確かに名曲である。E, L&Pがロックにアレンジしてファースト・アルバム(「Knife Edge」)に収めたくらいだから滅法かっこう良い。ヤナーチェクをクラシック音楽の入口にすることに反対はしないが、何だかなぁという気になってしまう。

まぁ、せっかくなので僕も便乗して「早わかりクラシック音楽講座」でヤナーチェクでもやろうかな・・・?(笑)人は集まるかなぁ??

ヤナーチェク:管弦楽曲集
・嫉妬(「イェヌーファ」のオリジナル前奏曲)
・歌劇「利口な女狐の物語」組曲
・「シャールカ」序曲
・タラス・ブーリバ
・歌劇「カーチャ・カバノヴァー」序曲、第1幕&第2幕の間奏曲
・「シュルークとヤウ」(ゲルハルト・ハウプトマンの劇のための音楽)
・シンフォニエッタ
サー・チャールズ・マッケラス指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ヤナーチェクの演奏はマッケラスに止めを差す。最高だ!

ありのままの自分を受け容れること、等身大の自分を認めること。他人に喜んでもらえることで、自分ができることって何だろう?-それを考えるべし。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「1Q84」でのヤナーチェクの「シンフォニエッタ」は、クラシックに詳しくない人にとって、相当に気になるでしょうね。先に読了した妻が、「シンフォニエッタってどんな曲だったっけ?」って訊いてきましたからね。録画してあったアルミンク指揮 新日本フィルの映像で思い出していただきました(笑)。いや、気になるのは無理ないと思いますよ、そういうふうに書いてあるのですから(笑)。
>せっかくなので僕も便乗して「早わかりクラシック音楽講座」でヤナーチェクでもやろうかな・・・?
ニーズは多いと思いますし、ヤナーチェクの人生もじつに面白いですしね。映画「存在の耐えられない軽さ」なんかも絡めながら、ぜひ・・・。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2627552
>ヤナーチェクの演奏はマッケラスに止めを差す。最高だ!
同感です。
「1Q84」のことですが、いろいろなご意見、ご感想があるでしょうが、私は高く評価しています。個人的には、量子力学の先端理論への興味から、絶対に存在すると確信するに至った、パラレルワールド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%AC%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
を純文学の設定に使用しているのも、嬉しいです(パラレルワールドものは村上春樹の十八番!)。
太宰治と村上春樹が今、積極的に読まれているのは、私は素晴らしいことだと思っています(プラス三島由紀夫も、もっと読まれるといいですね!)。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>気になるのは無理ないと思いますよ、そういうふうに書いてあるのですから
そうなんですね!それにしても村上春樹効果ってのはすごいですね。人の心を動かしちゃうんですからね。一気にヤナーチェクの名声が上がりそうです。
>ヤナーチェクの人生もじつに面白いですしね。
面白いですよね、彼の人生は。というより音楽家の人生はそれぞれ皆大変に面白いです。ラヴェルについてもここのところいろいろと調べてみて「面白いなぁ」と実感してます。
やっぱり僕も「1Q84」は読まないと話になりませんね。天邪鬼なのでしばらくいいやと思っていたんですが・・・。(笑)

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