リリ・ブーランジェについてもっと知りたくなった

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すべてが茶番に見えてくる現実の中でも、音楽や文学、絵画などいわゆる芸術分野の、特に傑出した作品というのは明らかに「真実」を伝えようとしているのではないだろうか。いや、別にそれが一流でなくても良い、少なくともその作品を生み出す者が、利己的でなく何か目に見えないものに突き動かされるような形で生み出たものたちは人々に偉大なる感銘を与えてくれる。
昨日の「五感の旅」では、フランスという国の音楽、文学、そしてワインが採り上げられた。会場内でしっかりと話を聴いていたわけではないのでまったくコメントする資格はないが、少なくとも晴香先生が配布されていたレジュメを見る限りにおいて、人間の多様性と奥深さについて考えさせられるし、何よりラヴェルやドビュッシーという天才を輩出した国だということで彼らの音楽を聴きながら、もう少し真剣にフランス音楽というものを突き詰めてみたいなとあらためて感じた。

いつだったか雅之さんにご紹介いただいたリリ・ブーランジェは衝撃だった。ファニー・メンデルスゾーンやクララ・シューマンの話題から彼女につながったのだったか、詳しいことは忘れたが、その後、何枚かの音盤を買い求めたもののまだまだ十分聴き込むには至っていない。女性で初めてローマ大賞を受賞することになる「ファウストとエレーヌ」が収録された1枚、あるいは「天の空間」や「シレーヌ」という歌曲を収めた1枚などをあらためてじっくりと聴いているが、そのどれもが20歳そこらの「少女」といってもいい時期に創作したとは思えない精神的深みをもつし、何よりドビュッシーやラヴェルとはまた違った「感覚」を覚えさせてくれるところがすごい(この曖昧な表現は、僕の音楽的専門知識の少なさゆえ。音を聴いて感覚的にただ綴っているだけなのでもう少し上手い表現を今後探せればと思う)。

まだまだ勉強不足であれこれ語る資格はないが、一聴素晴らしいと思えるので今夜はブーランジェ。

リリ・ブーランジェ:
・詩篇第24番
・カンタータ「ファウストとエレーヌ」
・交響詩「哀しみの夜に」
・ヴァイオリンとピアノのための「春の朝に」
・詩篇第130番「深き淵より」
リン・ドーソン(ソプラノ)
アン・マレー(メゾソプラノ)
ボナヴェンチュラ・ボットーネ(テノール)
ジェイソン・ハワード(バス)
バーミンガム市交響合唱団
ヤン・パスカル・トルトゥリエ指揮BBCフィルハーモニー管弦楽団

「ファウストとエレーヌ」、そして詩篇第130番「深き淵より」という2つの大作がやはり聴きどころ。特に「詩篇」の方は1910年~17年という長期にわたって推敲されている傑作。ここには「真実」がある。リリの生涯についてはまだまだ詳しくないので、このあたりの事情や詳細についてもいろいろと知りたいところだ。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
詩篇第130番「深き淵より」は、まず、入手しやすいガーディナー&ロンドン響、モンテヴェルディ合唱団
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3545889
との聴き比べをおススメしておきます。この作品への理解がより深まると思います。
リリ・ブーランジェについての基礎資料としては、「女性作曲家列伝」(小林 緑 (編集) 平凡社選書)
http://www.amazon.co.jp/%E5%A5%B3%E6%80%A7%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6%E5%88%97%E4%BC%9D-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E9%81%B8%E6%9B%B8-189-%E5%B0%8F%E6%9E%97-%E7%B7%91/dp/4582841899/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1285626362&sr=1-1
をお読みになられることを、強くおススメいたします。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
お忙しい中ご紹介ありがとうございます。
ガーディナー盤は価格も含めて魅力的ですね。
「女性作曲家列伝」もあわせて読んでみます。

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