色とりどりの小品

Schumann_bunte_blatter_demus.jpg早わかりクラシック音楽講座4周年記念コンサート「作曲家の恋物語~ショパン&シューマン生誕200年によせて~」開催まで2週間を切った。お陰さまで22日の六本木シンフォニーサロンでのリサイタルの方は完売、相変わらず入場希望者が絶えず、キャンセル待ちの状態である。月曜日の開催であるにもかかわらず、結構なスピードでチケットが売れたことは驚異。六本木という地の利の良さが功を奏したのか・・・。ホールの音響は成城(サローネ・フォンタナ)の方も抜群なので、クラシック音楽に造詣の深い方にはできれば成城まで足を運んでいただき、名曲群をご堪能いただきたいと願うばかりである。

ちなみに、「恋物語」については僕がレクチャーを担当することになっている。内容については現時点未定だが、ロベルトとクララ夫妻のこと、あるいはブラームスのことは避けて通れないだろうし、ショパンとジョルジュ・サンドについても少しは語ろうと考えている。さて、どんな切り口にしようか・・・。

ところで、「交響曲の年」と呼ばれる1841年、ロベルト・シューマンはクララとの結婚も落ち着き、9月には長女マリーが誕生、幸福の絶頂にあった。そんな年に、ひっそりと静かで穏やかな名曲を彼は残す。当人はそんなことになろうとは思っていなかっただろうが、後年、愛弟子のヨハネス・ブラームスや妻クララがその主題をもとに変奏曲を書き上げる、実にインスピレーションに富んだ名曲。

「色とりどりの小品」と題する作品集は、14曲からなり1852年に出版されている。1836年~1849年という長きにわたり書き留められたピアノ小品たちをまとめたものだ。1841年作の第4曲は「音楽帳Ⅰ」と題され、ゆるやかなテンポで奏されるその音楽は、極めて心に優しい。

シューマン:色とりどりの小品作品99
イェルク・デームス(ピアノ)

信じられないほどの廉価でリリースされているデームスのシューマン全集。すべてが一定以上のレベルに達した名演揃いだが、その中からとっておきの1枚。決して個性的とは言えない演奏までも、踏み外しのない安心感と安定感に関しては他のピアニストの追随を許さない。

デームスももう80歳を越える年齢だ。近頃、確か上野でリサイタルを開催したと思うが、聴けなかった。その評判を聴くにつけいかにも残念無念。


7 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「作曲家の恋物語~ショパン&シューマン生誕200年によせて~」、近付きましたね。とても楽しみです。リサイタル自体も当然、何回も言うまでもなくそうなんですが、私は土曜日午前の回を聴きますが、サローネ・フォンタナに伺うのが初めてなので、その初体験にも期待しているのです。
ところで、デームスは当地でも大変な評判のようです。
今年7月に開かれた、宗次ホールでのリサイタル(7/21 13:30開演 ショパン、7/22 18:45開演 シューマン)も、21日のほうなど、「席を譲ってください」というプラカードを持った女性が出現するほどだったとか・・・。聴かれたかたのブログでの感想を読んでも、名古屋公演のほうも、皆さん、一様に、大感動・大満足だったようです。確かに7月21日は、デームスで、あのプログラムで2,000円は安い!!
http://www.munetsuguhall.com/concert/201007/20100721S.html
デームスさんも宗次ホール、大のお気に入りのようです。
http://munetsuguhall.blog8.fc2.com/blog-entry-46.html
ピアニストの小川典子さんは、「ピアニストは自分の楽器を運べないからかわいそう」ではなく、「世界中でいろいろなピアノに出会えてうれしい」とポジティヴに考えるそうです(青柳いづみこ著 「我が偏愛のピアニスト」中央公論社 51ページより)。
楽器もそうですが、同じ演奏者、プログラムでも、ホールが変わると演奏の印象が激変する体験は、日常茶飯事です。
プロの演奏家は、様々なホールで演奏できるってことも、羨ましい限りです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
久しぶりに雅之さんに真正面からの演奏会を聴いていただくということでピアニストも心地良い緊張感に満たされているようです。楽しみです。
>デームスは当地でも大変な評判のようです。
そのようですね。確かに2000円というのは破格です。それに先日僕も初めて伺って感じましたが、宗次ホールいいですよねぇ。またあそこで聴いてみたいです。
>「ピアニストは自分の楽器を運べないからかわいそう」ではなく、「世界中でいろいろなピアノに出会えてうれしい」とポジティヴに考えるそうです
おー、すばらしい!その通りだと思います。

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畑山千恵子

10月28日、パウル・バドゥラ・スコダ、ピアノリサイタルを聴きに行きました。私は、シューベルト、ピアノソナタ第21番、D.960、変ロ長調が聴けることが楽しみでした。大変素晴らしい演奏でした。
さて、アンコール、何と、この日、デームスが来ていて、スコダが客席から舞台へ上げ、モーツァルト、アンダンテと変奏、K.501を演奏しました。これはびっくりというより、大変なプレゼントでした。
パウル・バドゥラ・スコダ、イェルク・デームス、フリードリッヒ・グルダといえば、戦後オーストリアを代表するピアニストで、ヴィーンの3羽烏といわれました。グルダが亡くなったとはいえ、スコダ、デームスが健在で来日していることを思うと元気な姿を見せてほしいですね。

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愛知とし子

雅之さん!
私も同じく。
本当に沢山のピアノに出会えることに感謝しています。
この子は、どんなピアノなんだろう?
今日は、どんなご機嫌かな?
と・・
そのピアノだから、表現したいことが変わってしまったりと・・
弾きなれないピアノを弾くのは、ある意味大変なこと(手こずることありますが・・苦笑)もありますが、その愛らしいピアノたちとどのように曲が作れるか、それはそれは、楽しい作業でもあります。
来年のアマチュアのみなさまのためのコンサートに、是非、出演しませんか?今、会場を探し中ですよ。

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岡本 浩和

>畑山千恵子様
こんばんは。
スコダのリサイタルに行かれたのですね!シューベルトの最後のソナタ、スコダがどういう演奏をするか興味深いです。
しかも、アンコールにデームスが飛び入りで演奏したとは!!
当日その会場にいらした人だけが感じられる至福ですね。羨ましい限りです。

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雅之

>愛知とし子様
おはようございます。
>来年のアマチュアのみなさまのためのコンサートに、是非、出演しませんか?
えっ、そんな計画があるんですか? 面白そうですね。でも、最近全然練習出来てないですが・・・(笑)。都合がつけば、ぜひ参加してみたいです。

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愛知とし子

わぁ!ありがとうございます。
時期は、遅いですが、来年のクリスマスあたりになります。
「(仮)大人のためのクリスマスコンサート」
プロは基本的に参加しない方針で、アコースティックの楽器のみに限定する予定です。
一応、私は、伴奏者として待機してます!
是非、この機会に練習をしてみては?
最近の究極の「音浴」は、自分で楽器を奏でることかな?と思っています!

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