楽しむこと

人と人とが何かを共にやっていくというのは大変に難しいことのようだ。考え方やビジョンの相違、感性・嗜好の相違、など理由は様々である。友人としてならうまくいっていた関係がいざビジネスとなると少しずつ関係に歪が生じ、軋み始めることがままある。
とにかく「コトを起こす」時は「ピン」であることが重要なのかもしれない。

ロック音楽の世界も同様で、ビートルズにしろ、ストーンズにしろ、数多ある実力派バンドで仲違いなく順風満帆に継続しているグループがかつてあったろうか?一人ひとりの力量や才能が優れていれば優れているほど、それぞれの主張がそれなりの力を帯び、それが激しくぶつかり合う。結果、メンバーの脱退やバンドそのものの解散に繋がることになる。
しかし、そうはいっても個性派の名手が揃っていればパズルがピタッとはまった時には途轍もない名演、名ステージを残すことになるからこれまた不思議なものである。

1982 年、プログレッシブ・ロックの盟友たちが集結し、結成したスーパー・グループ、エイジア。ファースト・アルバムは全世界でベスト・セラーになり、翌年発売された2枚目のアルバムも売れた。しかし、83年Asia In Asiaと題する初来日公演直前に、ヴォーカルのジョン・ウェットンが脱退し、急遽グレッグ・レイクが代役を務めたのだが、評判はあまりよろしくなかった。レイクが名手だとはいえいくらなんでも急ごしらえバンド、無理があった。
その後、エイジアは何度もメンバーの入れ替わりを繰り返すが、結局オリジナル・メンバーでの公演は成立しなかった。

エイジア:「時へのロマン」

ところが、昨年結成25周年を記念しオリジナル・エイジアが再結成、全米ツアーをスタートしたというニュースが飛び込んできた。その流れで今年の3月、とうとうオリジナル・メンバーでの来日が決定し、往年のファンはこぞって喜んだ。当然僕も厚生年金会館に出かけた。
確かに、全員昔の風貌は見る影もなく「爺」になっていたが、ステージそのものは感動的でかつテクニックも衰えていない。流石である。

人間だからいろいろなことはある。仲違いももちろんある。しかし、初心に戻り、とにかく楽しむことが重要なのではないだろうか。

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