ジョージ・ハリスン万歳!!

George HarrisonがThe Beatles在籍時の1968年に作曲した”All Things Must Pass”。
マーティン・スコセッシ監督の映画はこの音楽で幕を開ける。

Sunrise doesn’t last all morning(毎朝の日の出はずっと続くわけではなく)
A cloudburst doesn’t last all day(夕立もずっと続きはしない)
Seems my love is up (僕の恋もこれで終わるのかな)
and has left you with no warning(彼女は別れも告げずに去っていった)
But It’s not always going to be this grey(だけどこの灰色の気分もいつかは終わる)
All things must pass(すべては移り変わる)
All things must pass away(すべては過ぎ去ってゆくんだ)

All things must pass(すべては移り変わってゆく)
None of life’s strings can last(人生を織りなす糸は永遠に続くものじゃない)
So, I must be on my way(だから・・・、僕は自分の道を行こう)
And face another day(また新たな日々を迎えるために)

Now the darkness only stays the night time(暗闇が支配するのは夜の間だけ)
In the morning it will fade away(朝の訪れとともにそれは姿を消す)
Daylight is good at arriving at the right time(明るい日差しはちょうど良い時期に訪れる)
It’s not always going to be this grey(この灰色の気分もいつかは終わるさ)

「諸行無常」がテーマであるかのような名曲。インド哲学に目覚めたジョージ・ハリスンの歌は極めて深い。まるで悟っているかのようだ。
(なお、この楽曲がタイトルになっているアルバムは、ジョージが死去する直前にリリース30年を記念しリマスター盤が作られており、俄然音質は向上している)

”George Harrison – Living in the Material World”を観た。途中10分の休憩を挟んで2部構成、正味3時間半の長編ドキュメンタリーだが、全編ジョージの傑作に彩られ、あっという間に時間が流れてゆく。
こうやってジョージ・ハリスンというアーティストの決して長いとは言えない人生を追ってみると、いわゆる成功を勝ち取った(お金や名声を得た)後に残るものは何もないことに若いうちに気づき、導師マハリシ・マヘーシ・ヨギとの邂逅からインド哲学に目覚め、瞑想を通じて内観を繰り返す彼の地味だけれどすべてを内包する生きざまにあらためて感動を覚えた。ジョージ・ハリスンに深く関わった人たちがインタビューに応えるシーンもふんだんに盛り込まれており、そこからは「静かなビートル」が決して聖人君子でなく、あくまで人間臭い人間だったことが伺われて、それほどポピュラリティを獲得していないものの実に奥深い内容を持つ彼の楽曲により一層親近感を覚えた。

ここでは誰もがジョージは二面性を持っていたと証言する。女好きの俗物としての顔、そして聖人としての顔。そのどちらもジョージ・ハリスンその人のもつ一面であることが興味深い。映画はどちらかというと「聖人」としての側面を強調しているようにもとれるが、没後10年の記念すべきタイミングということもあろうからそれに関してはとやかく評するのは止そう。

ちなみに、前妻パティがエリック・クラプトンと恋仲になり、結果的に譲ったという例のエピソードも当人たちのインタビューを交えて紹介されているが、意外に痛々しさは感じられない。それより、パティとの許されざる恋の最中にクラプトンが書いた名曲”Layla”(邦題:いとしのレイラ)にまつわる思い出をパティ本人が語るシーン(ジョージがマハリシに傾倒し過ぎて家庭を顧みず妻を放ったらかしにしていたという事実)、そしてその出来事についてジョージが”Isn’t It A Pity”で自身の想いを表明するあたりの流れが「人間っぽく」て僕は好き(アルバム”All Things Must Pass”にはこの歌が2ヴァージョン収録されている。ジョージは余程悔しかったのだろうか)。

“Layla” – Derek and the Dominos
What’ll you do when you get lonely(ひとりぼっちで寂しいときは何をしてるんだい)
And nobody is waiting by your side?(君のそばで誰も待つ人はなく)
You’ve been running, hiding much too long.(ずっと長い間たくさんのことを隠し続けてきたね)
You know it’s just your foolish pride.(それは君の馬鹿なプライドのせいだろ)

Layla, you’ve got me on my knee(レイラ、僕が君の前に跪くよ)
Layla, I’m begging, darling please(レイラ、お願いだよ、いとしい人よ)
Layla, darling won’t you ease my worried mind.(レイラ、いとしい人、僕の不安を和らげておくれ)

“Isn’t It A Pity”
Isn’t it a pity(なんて残念なことだろう)
Isn’t it a shame(なんて恥ずべきことだろう)
How we break each other’s hearts(互いに心を傷つけ合い)
And cause each other pain(互いに痛手を負わせるなんて)
How we take each other’s love(互いに愛を奪い合いながら)
Without thinking anymore(それ以上のことは何も考えようとしない)
Forgetting to give back(愛を与えることさえ忘れてしまうよ)
Isn’t it a pity(なんて残念なことだろう)

George Harrisonのソロになって以降の作品については、すべてきちんと追ってきたわけではないのだが、映画中に使用された楽曲すべてが素晴らしかった。とにかく歌詞がいずれも慈愛に満ちていて・・・。しかも泥臭く・・・。

※明後日29日はジョージ・ハリスンの10回目の命日である・・・。


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アレグロ・コン・ブリオ~第5章 » Blog Archive » すべてがショービジネス

[…] 毎々繰り返すが、時間の経過は本当に早い。あと数日で9月も終わる。いやはや、何とも・・・、である。この分だとあっという間に2013年がやって来そうだが、残りのこの3ヶ月が実に色濃いものになりそうで興味深い。世間ではいろいろと騒がれているが、実際何がどうなるのか・・・。 久しぶりにジョン・レノンを聴いた。30年前に相当お世話になった。ビートルズのメンバーの中でもこの人の作品に最もシンパシーを感じ、リリースされたアルバムはすべて手に入れた。ポールのものは”Band On The Run”や”Venus And Mars”、”McCartneyⅡ”・・・などなど極々限られたものしか手元にないし、ジョージについてもアトランダムに数枚(最高作”All Things Must Pass”はオリジナルとニュー・センチュリー・エディションの両方共)所有しているに過ぎないのに、ジョンのものは全部。あの頃、本当に凝った。多分それも1990年頃までだが・・・。凶弾に斃れて10年経過し、目ぼしい音源は発掘され尽くし、ボックス・セット類もいくつか出され、そろそろ打ち止めにしようという思いだったかな・・・。 […]

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