デュトワ指揮モントリオール響のリムスキー=コルサコフ「シェエラザード」(1983録音)を聴いて思ふ
久しぶりにシャルル・デュトワの指揮する「シェエラザード」を聴いた。
この、エキゾチックで美しい旋律を持つ音楽がいかにも心に響いた。
そういえば、この作品は1910年にディアギレフ率いるバレエ・リュスによってバレエ化されていたんだった。
「シェエラザード」でディアギレフは、かつてノヴェールが夢見た説を実践した。ノヴェールの書には「美術家、作曲家、振付家が一体となれば、どんな奇跡が生まれるだろうか!」とあるのだ。ディアギレフが「シェエラザード」で見せたのは、このノヴェールの言う協調なのだ。この作品を観客がどう思ったかを伝えるのは難しい。幕が下りても、客席の興奮はいっこうに静まらなかった。
~セルゲイ・グリゴリエフ著/薄井憲二監訳/森瑠依子ほか訳「ディアギレフ・バレエ年代記1909-1929」(平凡社)P41-42
リムスキー=コルサコフの音楽は、物語を見事に描写する。
第1曲「海とシンドバッドの船」冒頭の独奏ヴァイオリンによるシェエラザードの主題の色香に痺れる。