その物語が脚本家の梶本恵美さんにより秋吉久美子さん主演の素晴らしい朗読劇として生まれ変わった。本郷にある東京都指定有形文化財求道会館での正味1時間半の舞台は、会場の雰囲気と相俟ってまさに神聖さと人間臭さの両方を感じとれる見事なものだった。
動きの少ない朗読劇であるからこそ、より一層内面に潜む想いが一言一句に表現されており、物語については隅から隅までわかっていたのでどうなのかとも思ったが、「人間がその想いを表現することの大切さ」をあらためて教えていただいたように思った。
元々この物語は、著者がニューヨークの9.11テロに遭遇し、「今こそ、平和へのメッセージを伝えたい」という想いから書かれたものであるそうだ。マハトマ・ガンディーの思想に共鳴した彼らしく、まさに「非暴力」を軸にした簡潔でわかりやすい物語になっている。
人は感謝の気持ちを忘れてついつい愚痴を言ってしまう生物である。「のに」という接続詞が口を突いた瞬間にエゴが頭をもたげる。そういえば、昔「Giving Tree(邦題:大きな木)」の話を聞いて、なるほどすごいなと感動する一方で、いやいや人間というもの残念ながら自身を犠牲にしてまで人の役に立ちたいなどとは心底は思えないものだろうと感じたことを思い出した。人間関係とは難しいものである。特にそれが近しい関係になればなるほど難易度が増す。
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