2010年7月30日(金)19:30開演
渋谷ステュディオ
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調作品109
・ドビュッシー:「映像」第1集~『水の反映』、『ラモーを讃えて』、『運動』
・ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
アンコール~
・シューマン(リスト編曲):献呈作品25-1 S.566
・ショパン(リスト編曲):6つのポーランド歌曲S.480~私の愛しい人
僕が裕生野さんの演奏を始めて聴いたのは、2007年12月24日に代官山で開かれたヴァイオリンとのデュオ・リサイタルで。この時のエルガーも大変な名演奏だったが、それ以上に感激したのが、2008年5月の杉並公会堂でのオール・ドビュッシー・プログラム。クラシック音楽愛好歴が長いにもかかわらず、ドビュッシーに関してはほとんど理解し難いと匙を投げていた矢先の実演で、しかもとても感激させられたものだから、彼女のお陰でドビュッシーに開眼させられたと言っても過言でない。その意味では本当に感謝している。本人的には今回のドビュッシーについてはあまり納得いかないような話だったが、いやいや相変わらず素晴らしい演奏だったと思いますよ。
ベートーヴェンの作品109は久しぶりに聴いた。涙が出るほど良い曲だ。第3楽章の変奏曲は、まさに楽聖ベートーヴェンの「真実」が音化された傑作だと思うが、人生の喜びも悲しみも、あらゆる感情が縦横に行き来する。加納裕生野のピアノは、時にチェンバロのような音を奏で、時に電子音楽と化す。そしてある時はピアノの音そのものが強調され、ある瞬間はまるでオーケストラのように交響的な響きを鳴らす。「内燃するエロス」とでも表現できようか。
ドビュッシーは奔放だ。これほど自由に飛翔する音楽が他にあろうか。
そして、ラヴェルの音楽は、その名の通り極めて高尚だが、あくまで人間の域を脱することはない。ジャズやロックや、あらゆるポピュラー音楽を飲み込むおおらかさ。まさに「外部に向けられたアガペー」だといえる。
アンコールとして、今年生誕200年を迎える2人の天才作曲家の音楽をリストが編曲したもので締めるところがこれまた粋。演奏も秀逸。
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