第11回 早わかりクラシック音楽講座 2007/12/27&28

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「宇宿允人の世界を聴く」

☆コンサート
例によって、講座の一環で宇宿允人を聴いて参りました。6月、8月に引き続き3度目の宇宿詣となります。27日は総勢17名、28日は14名の参加でした。

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◆12月27日(木)公演
□日時:12月27日(木)18:30開場、19:00開演、21:15終演
□会場:東京芸術劇場大ホール(池袋)
□演奏:宇宿允人指揮フロイデ・フィルハーモニー、柏木薫(ピアノ)
□プログラム:
①シベリウス:交響詩「フィンランディア」作品26
②グリーグ:ピアノ協奏曲イ長調作品16
③ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」
アンコール~チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」から「花のワルツ」
□参加者:17名

約4ヶ月ぶりの宇宿允人コンサート。どうしようもない駄演があるかと思えば、とんでもない名演奏を成し遂げてしまうこともあるという、オーケストラの調子や聴衆の感度を含めてその日その時になってみないと何がどうなるかわからないところに「宇宿允人の世界」の面白さがある。ほぼ定時の開演。1曲目の「フィンランディア」はロシアの圧政に苦しんでいた当時のフィンランドにおける独立運動の一環として作曲された名曲。北欧らしい「暗さ」や「重さ」の中にも「開放的」なメロディーを擁するシベリウスの中で最もポピュラーな楽曲である。宇宿らしい名演奏を期待したが、オケの調子や会場の状態などの問題もあるのか今ひとつエンジンがかからない様子。第2曲目のグリーグも同じような状態で続く。ピアノの柏木は初めて聴いたのだが、残念ながら音量が弱く、ミス・タッチも気になる。それにオケとの合わせ不足なのか、どうも一体化しないところに大いに問題を感じた。とにかくこの30分ほどの曲がとても長く感じられた。
ところで、1曲目の「フィンランディア」終了後、ピアノの準備を待つ間マイクを持って宇宿氏が短いスピーチをした。フィンランドが愛国心を持ってロシアと戦い独立した話から、アメリカの属国になりさがった日本も、かつての「大和魂」を復活させるべきだという「右翼」的(笑)なお話。彼の思想はともかくとして、コンサートでこういう話ができるところは誠に面白いと感じる。
25分間の休憩を挟んでメインの「展覧会の絵」。前半の様子からどうなることやらと心配したものの確かに尻上がりに調子を上げていったことは事実。
プロムナードの金管(特にトランペット)でまずは吹っ切れ、「これは?!」と一瞬思わせるものの第4曲「ビドロ」におけるチューバはとにかく落ちまくってお話にならない(可哀想になったくらいだ)。
第8曲「カタコンブ」まではまだまだ凡演。「カタコンブ」の後半、曲想が一瞬明るくなるところでふと「愛」が感じられ、そのままの状態で最後まで走り、名演になることを期待したが、残念ながらフィナーレ「キエフの大門」ではこれまた安定感を欠き、最後の大団円はさすがに盛り上がったものの今一つの印象。全体としてテンポの遅い往年の巨匠風の演奏なのだが、形ばかりで内容がついてきていない感が否めなかった。多分、今回のオーケストラ・メンバーの状態、調子の問題なのだろう。ただ、宇宿信者が多く占めていると思われる会場からは「ブラヴォ!」の声と絶賛の拍手が鳴り止まなかったことを付け加えておく。
ちなみに、アンコールはチャイコフスキーの「花のワルツ」だったが、今回参加した仲間内ではこの曲が一番良かったという感想が多かった。この分で行くと2日目の演奏はとてもいいものになるかもしれない。期待・・・。

◆12月28日(金)公演
□日時:12月28日(木)18:30開場、19:10開演、21:20終演
□参加者:14名

「宇宿允人の世界」第2日目。
定刻より少々遅れ19:10頃から演奏がスタートする。安定感がある。見違えるようなオーケストラの響き。1曲目のフィンランディアから明らかに昨日とは違う。さすがに2日目ともなると慣れてくるのだろうし、今年最後の大舞台ということもあって演奏者側に相当な気合が入るのだろう。
ピアノの準備ができるまでの宇宿先生によるスピーチも昨日よりスムーズでヴォリュームもある。内容もマイナー・チェンジ。
ピアノの準備が整ったところでグリーグのピアノ協奏曲。オーケストラは良かった。しかし、ピアニストは残念ながら昨日以上に疲れていたようだ。痛々しくもある。やっぱり辛かった。
25分の休憩を挟み後半は「展覧会の絵」。
いやー、心配しましたが良かったです。「プロムナード」から聴き応え充分。気合い充分。昨日最低だった4曲目の「ビドロ」のチューバ・ソロもOK。よく頑張りました。ひょっとすると宇宿さんに昨日のコンサートのあとよっぽど絞られたんじゃないかと思わせるくらい状態が違っていた。「カタコンブ」も「バーバ・ヤーガ」も良し。そして圧巻は「キエフの大門」。アンサンブルの乱れはあるもののとても心のこもった「愛」に満ちた大演奏でした。素晴らしかった。
最後のスピーチも昨日とは違った内容。例によってアンコールの「花のワルツ」もとても興に乗った演奏で聴衆も大満足のようでした。共に参加した我ら14名も納得のコンサート。
会場を出ると雨。とりあえず残った9名で忘年会。とても良い時間を過ごせました。