第12回’ 早わかりクラシック音楽講座 2008/2/23(Sat)

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「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番~愛の成就と喪失」【アンコール】

■内容
≪ ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番~愛の成就と喪失 ≫
第1部:ラフマニノフの成育歴、第2協奏曲成立前史&楽曲構成解説
自己評価と自分の内にある「軸」、そして「勇気」について
第2部:再度全曲を聴く!

第1部
□ラフマニノフの生育歴、第2協奏曲成立前史&楽曲構成解説
ラフマニノフの幼少期は決して安定していたものではなかったようだ。元は貴族でありながら、当時は没落間近で、それによる両親の不仲や身内の相次ぐ死などがラフマニノフの深層心理に深い傷跡を残しているよう。人間はストロークを物理的、精神的に十分受けて成長しないと広義での「愛情欠乏症」に陥る。そのストロークに欠如があると、精神的な弱さ、脆さを内に秘めるようになる。ただし、そういった「負」の経験が芸術を生み出す原動力にもなっていることを考えると、過去の体験すべてが否定されるものではないことは確かである。第1交響曲の初演失敗を乗り越え、巨匠が世に送り出した古今を代表する名ピアノ協奏曲が生まれた背景を学ぶ。

写真 001

写真 002

□楽曲構成を俯瞰しつつ各楽章を聴く。
協奏曲という形式、そしてソナタ形式というものを簡単に紹介。クラシック音楽を理解し、感じる上で、まずは左脳的に「形式」を押さえ、楽曲がどの方向に進んでいるのかを認識できることはとても重要な要素である。
試聴CD
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団

第2部
再度別演奏で全曲を聴く
ルービンシュタイン盤がラテン的な明るさを秘めるのに対し、このリヒテル盤は明らかにロシアの広大な大地を髣髴とさせる「暗さ」を持つ名盤である(岡本私見)。
試聴CD
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ヴィスロツキ指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団

写真 003

合計3時間弱、参加者から様々な切口の面白い質問を受けながらあっという間に時間が過ぎ去りました。「19世紀ロシアの歴史的背景や、そもそもツァーリ(皇帝)制はいつからなのか?」とか「クラシック音楽にはなぜわかりやすいタイトルがついていないのか?」などの質問に答えることでより音楽に対する理解を深めていただけたのではないかと実感します。今回は急遽決定した【補講】ということもあり、ピアノの生演奏はご披露できませんでしたが、その分「ラフマニノフの人間性」や「人間力とは?」という内容に近いお話をほんの少しですが、ご教示できたかと思っております。講座開始からちょうど1年。「早わかりクラシック音楽講座」の軸となるテーマ「愛、勇気、シンクロ」が確立されつつあるように思います。