第14回 早わかりクラシック音楽講座 2008/3/30(Sun)

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「楽聖ベートーヴェン/自然賛歌-「祈り」の交響曲」

■内容
≪ 楽聖ベートーヴェン/自然賛歌-「祈り」の交響曲 ≫
第1部:ピアノ生演奏(Piano:愛知とし子)
第2部:ベートーヴェンの生育歴、歴史的背景など予備知識~「運命の4つの音」
第3部:名曲「田園」交響曲を斬る!
– お茶とお菓子付 –

第1部
□ピアノ生演奏 (Piano:愛知とし子)
①ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番へ短調作品57「熱情」~第1楽章
「運命の4つの音」が木霊する楽聖壮年期の傑作。ベートーヴェンが残した32曲のソナタの中でも「悲愴」、「月光」などとあわせて3大ソナタといわれている名曲です。「運命」交響曲と同じモチーフが頻繁に出てくるところが聴きどころ。

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第2部
□ベートーヴェンの生育歴、歴史的背景など予備知識~「運命の4つの音」
楽聖が幼年期に受けた心の傷(トラウマ)を表現する「運命の4つの音」。アダルト・チルドレンであった(!)。音楽創作を通して自らの心の叫びを表現するベートーヴェン壮年期の名作を抜粋で聴きながら、作曲家の生い立ちや人となりを語りました。
参考CD
①交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
②ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
チョン・キョン=ファ(ヴァイオリン)
クラウス・テンシュテット指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
③ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58
内田光子(ピアノ)
クルト・ザンデルリンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

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第3部
□名曲「田園」交響曲を斬る!
第5交響曲と双生児でありながら全く性質の違う傑作第6交響曲「田園」。数多ある名録音の中からいくつかを取り出し比較視聴をしながら楽しみました。「運命」が自身の内面の葛藤を表現し「苦悩から勝利へ」をモチーフとした「闘争」の音楽であるのに対し、「田園」は、耳疾患が相当進行しほぼ聴こえなくなった時期に楽聖が自然や宇宙に対し意識を向け書き上げた究極の「癒し」音楽です。今回はカール・ベームがウィーン・フィルと共に1977年に来日した際の録音を中心に聴きこみました。

①カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1977年NHKホールLive)
比較試聴
②ヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団(1989年サントリーホールLive)【第4楽章~第5楽章】
③ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団【第1楽章冒頭】
④ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団【第1楽章冒頭】

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今回はこれまでで最多の15名の方にご参加いただきました。定員が大幅にオーバーしてしまい、窮屈な中で傾聴いただきありがとうございました。感謝です。講座の前1週間ほどは久しぶりに「田園」交響曲を様々な盤で聴き込みましたが、聴けば聴くほどこの音楽の持つ「凄さ」に圧倒されてしまいました。ひょっとすると第3や第9交響曲を凌ぐ最高傑作ではないかと思ってしまうほどのピュアなエネルギーに満ちた音楽なのです。ゆえに実演では本当に感動する演奏に遇うことは滅多にありません。それほど人間離れしている音楽であり、指揮者や演奏家にとっても楽譜の行間を読み解いて表現するのが難しい代物だと思うのです。

講座の最後にもお話をさせていただきましたが、この音楽を聴きながらどういうわけか宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という詩を思い出しました。僕は賢治のことは詳しくないのですが、あとからいろいろと調べると、賢治は当時、東北で2番目にレコードをたくさん蒐集しているクラシック音楽愛好家であり、特にベートーヴェンの「田園」交響曲を好んだそうです。賢治のようにとにかく「謙虚」に、そして楽しく「音楽」を聴きながら生きていきたいものですね。

※終了後、いつものように数名で食事懇談会を開催しました。講座中では聞くことのできないそれぞれの「想い」を語り合いました。楽しかったです。