「1830年パリ7月革命~ショパン、リスト、そして『幻想交響曲』」
内容
≪ 1830年パリ7月革命~ショパン、リスト、そして『幻想交響曲』 ≫
第1部:当時の社会的背景、歴史~パガニーニの影響、リスト、ショパン
第2部:ベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く
第3部:「幻想交響曲」聴き比べ(抜粋)
-お茶とお菓子付-
第1部
□当時の社会的背景、歴史~パガニーニの影響、リスト、ショパン
1789年のフランス革命に始まり、ナポレオン失脚後のウィーン体制から1830年の7月革命に至るまでの歴史を振り返り、いわゆる音楽の世界におけるロマン主義がどういうものなのかを簡単に紹介、俯瞰しました。ベートーヴェンがいかに革新的前衛的であったか、あるいは悪魔に魂を売り払ったとまで揶揄されたヴァイオリンの鬼神ニコロ・パガニーニが後輩作曲家-例えば、リスト、あるいはショパンにどれほどの影響を与えたのか、また、7月革命当時、リストやショパン(ポーランド蜂起、ワルシャワ陥落に対する絶望)がどういう想いで楽曲を創作したのかをCDを聴きながら解説しました。
①パガニーニ:24のカプリース(奇想曲)作品1~第24番イ短調
シュロモ・ミンツ(ヴァイオリン)
②パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調作品7「ラ・カンパネラ」~第3楽章
サルヴァトーレ・アッカルド(ヴァイオリン)
シャルル・デュトワ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
③ショパン:12のエチュード作品10~第12番ハ短調「革命」
マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)
④リスト:ラ・カンパネラS.141
ホルヘ・ボレット(ピアノ)
⑤ショパン:マズルカ第1番嬰へ短調作品6-1
アルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
第2部
□ベルリオーズ「幻想交響曲」を聴く
1830年12月5日、パリにて初演されたロマン派の幕開けを告げるベルリオーズ作曲「幻想交響曲」。ベートーヴェンの死後わずか3年という時代に、楽曲の構成や楽器編成の巨大志向、際限のない幻想の飛翔、悪魔的・病的・破滅的願望に傾斜した特異性など、それまでにはありえなかった音楽を見事に生み出し、しかも人々に好評で(もちろん賛否両論はあったはずです)迎え入れられたエポック・メイキング的な傑作をじっくりと聴き込みました。特に、作曲家自身が標題をプログラムに明記し、具体的なイメージを想起しながら聴くことを奨めたことは、クラシック音楽入門者にとって音楽を理解する上でとても有効のようです。中には、映画音楽のようだという評価もいただきました。
エクトール・ベルリオーズ:幻想交響曲作品14
「病的な感受性と、激しい想像力をもった若い芸術家(ベルリオーズ自身)が、恋の悩みから絶望して阿片自殺を図る。しかし服用量が少なすぎて死に至らず、奇怪な一連の幻夢を見る。その中に恋する女性(女優ハリエット・スミッソン)は、一つの旋律として現れる」
第1楽章:「夢、情熱」
第2楽章:「舞踏会」
第3楽章:「野辺の風景」
第4楽章:「断頭台への行進」
第5楽章:「ワルプルギス(魔女)の夜の夢」
①シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団
第3部
□「幻想交響曲」聴き比べ(抜粋)
初演時には第4楽章が何度も繰り返しアンコールにかけられたといわれています。今回の講座でも第3楽章以下が比較的人気であったため、聴き比べの意味も含めて、第4楽章以下をあらためて聴いてみました。
②チョン・ミュンフン指揮パリ・バスティーユ管弦楽団
今回の講座は少人数での開催になり、アットホームな中で進めることができました。従来のテーマとは別切口(歴史の視点で切る)だったので、進行上、多少の無理があったことは否めません。前半、スピーカーの調子が悪く、ご参加いただいた方々に不快な思いをさせてしまったことをこの場を借りてお詫び申し上げます。
次回はリクエストにお応えし、J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」を採り上げる予定です。乞うご期待!