八王子生涯学習センター市民自由講座 2013/3/23(Sat)

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市民自由講座「クラシック音楽入門&ミニコンサート」

時間:14:00~16:00
主催:八王子市生涯学習センター
会場:生涯学習センター5階ホール

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内容
≪ 苦悩を乗り越え傑作の森へ:ベートーヴェン入門 ≫
第1部
□ベートーヴェンの挑戦と革新
昨年に引き続き、八王子での市民自由講座にてお話しさせていただきました。
ベートーヴェンのシンフォニーを軸に彼の試みた挑戦と革新をテーマに1時間映像を視聴いただきながら講座を進めました。
冒頭、クラシック音楽のなかで「最も有名な」と言っても言い過ぎでない交響曲第5番の抜粋映像。

ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67第3楽章終結~第4楽章冒頭
オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

おそらく1970年頃、最晩年のものだと思いますが、椅子に腰かけてのクレンペラーの動きは正直鈍重です。しかしながら、そこから出て来る音楽の神々しさ。全曲視聴いただきたいところですが、時間の関係でほんの5分ほど。

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まずは、楽聖の挑戦について。日本の古典芸能でいわれる「守破離」という言葉をヒントに、ベートーヴェンが師から受け継いだものをやがて破り、そして独自の、孤高の世界に入っていくというお話。それには「思い込み」、「殻」を破る必要があることをお伝えしました。ちなみに、ベートーヴェンの師のひとりにハイドンがいます(正確にはほんの数週間しか習っていないということですが)。もちろんハイドンも一流の作曲家ですから革新はあります。彼のシンフォニーから1曲を取り出し、抜粋で視聴いただきました。

ハイドン:交響曲第94番ト長調「驚愕」~第2楽章冒頭
マリス・ヤンソンス指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2001.5.1Live)

ベルリン・フィルはさすがに巧いですね。

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その後、9つの交響曲の中でも最高傑作だと私が確信する「田園」交響曲について。200年前、ちょうど産業革命により人間が自然を破壊し始め、いつしか自然や地球よりも人類の方が上だと勘違いを始めたであろう時期にベートーヴェンが書き上げた一種の警告ではなかろうかというお話をさせていただきました。
特に第3楽章から第5楽章に至る連続の音楽は、人間世界の愉悦、そして時に牙をむく自然の驚異、さらに自然と人間の一体。それには祈りと感謝こそが大切なのだと我々に説くのです。

ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」第3楽章~第5楽章
朝比奈隆指揮新日本フィルハーモニー交響楽団(1989.4.6Live)

素晴らしい!宮沢賢治がこの音楽を愛聴いたことを交え、あらためて21世紀に生きる我々ができることは何なのかを問いかけさせていただきました。

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第2部
□愛知とし子ミニコンサート
ベートーヴェン:
・ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」
・エリーゼのために
・ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調作品57「熱情」
アンコール
・ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調作品27-2「月光」~第1楽章

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今回の講座は定員170名のところ260名近い応募があり、抽選になりました。
当日も大勢の方にお出かけいただき、ほぼ満席、好評のうち終了いたしました。
ありがとうございました。