クラシック音楽講座
≪ 「失敗は成功のもと」自信喪失からの脱却~ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ≫
第1部:ラフマニノフの生い立ち、ピアノ協奏曲第2番のこと
第2部:ピアノ協奏曲第2番比較視聴
第1部
□ラフマニノフの生い立ち、ピアノ協奏曲第2番のこと
「失敗は成功のもと」をキーワードに、ラフマニノフの名曲ピアノ協奏曲第2番を採り上げました。
まずはいつものように生い立ちから。ここにはそもそもラフマニノフの精神的弱さが読み取れるのですが、そのマイナス面が芸術には逆にプラスに働き、憂いを帯びた旋律の極めて美しい音楽が生み出されたともいえるのです。
そして、この音楽が生み出された背景には、最初の大作である交響曲第1番が、初演指揮者であったグラズノフのいい加減な演奏によったこと、背景にペテルブルク派とモスクワ派の争いがあったこと、そしてロシア正教の旋律がここかしこに使用されていたことが当時の一般大衆には受け容れ難かったなど、数多の問題により大失敗、結果、神経衰弱に陥ったラフマニノフは完全に自信を喪失し作曲意欲までも失くしてしまいました。その状況を打開すべく、当時有名であったフロイト学派のニコライ・ダーリ博士の心理療法を受け、見事に復活。
そして、何とあのピアノ協奏曲第2番が生み出されたのでした。
第2部
□ピアノ協奏曲第2番比較視聴
今夜は2種の演奏を比較。
①デニス・マツーエフ(ピアノ)
ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクト・ペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
②エレーヌ・グリモー(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団
圧倒的ヴィルトゥオーゾ気質のマツーエフに対し、あくまでオーケストラとの一体を主眼に置くグリモーの対照的な演奏に皆様大変驚かれておりました。同じ曲が演奏者によってこうも違うものなのか、と。
これぞクラシック音楽の楽しみのひとつです。
次回は11月14日(金)開催予定。テーマはチャイコフスキーの交響曲第5番(予定)です。