さくらカレッジ2012年4月講座 2012/6/2(Sat)

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「早わかりクラシック音楽入門講座」

内容
≪ モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595 ≫
第1部:モーツァルトの生涯、ウィーン時代の栄光とどん底と
第2部:ピアノ協奏曲第27番を視聴する
※使用テキスト「オヤジのためのクラシック音楽入門(帯金充利著)」(新泉社)

第1部
□モーツァルトの生涯、ウィーン時代の栄光とどん底と
わずか35年という短い人生で1000曲近い作品を残したヴォルフガング・アマデウス。生まれてからのザルツブルクでの25年間は、その3分の1ほどを演奏旅行に明け暮れるという毎日でした。
当時、神童と呼ばれた彼が父親の付添いの下ヨーロッパ中を訪れ、その演奏で世間をあっと驚かせたことは周知の事実です(請われて生み出した数々の作品は愉悦に満ち、どれもが現代でも傑作として知られる作品です)。

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1781年にザルツブルクを離れ、ウィーンに移住してからは本当の意味でやっと自立を迎えたモーツァルトが人生の全盛を迎えた時代でした。新作を発表すればすべてが絶賛され、充分なお金も手に入り、心身共に充実の時期でした。しかしながら、人気はそう長くは続きません。特に1787年に父親を亡くしてからは、意気消沈し、哀しみを湛えた哲学的な作品が増えるのですが、同時に大衆からはそっぽを向かれ、予約演奏会がめっきり減少します。当然収入が激減し、彼の生活は一気に危うくなり、晩年は経済的困窮に喘ぐようになってしまいます。
演奏会の当てもなく、彼がその晩年のわずか2ヶ月半ほどの間に書き上げた最後の3つの交響曲。
今回はまず、最後の「ジュピター」交響曲を抜粋で視聴しました。

①交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」~第1楽章&第4楽章
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(DVD)

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そして、ほぼ同じ頃に書かれた「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を同じく抜粋で。

②アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525~第1楽章&第2楽章
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(DVD)

さすがに皆さん、「アイネ・クライネ」の旋律はご存じのようでした。とはいえ、これほど有名で、愉悦的な音楽が父親の死の直後に書かれたということに驚かれていたようです(よく聴くと悲哀のフィーリングを伴った名作だと思います)。

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第2部
□ピアノ協奏曲第27番を視聴する
さて、本日のテーマであるピアノ協奏曲について。
まずは、全盛期の84年~86年あたりに創作された作品について少し説明を加えさせていただいた上で、まずは第23番K.488の第1楽章、そしてK.467の第2楽章を視聴しました。

③ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488~第1楽章
④ピアノ協奏曲第21番ハ長調K.367~第2楽章
ダニエル・バレンボイム(指揮&ピアノ)

その後、最後の協奏曲を、成立事情を説明した後、全曲堪能していただきました。

⑤ピアノ協奏曲第27番変ロ長調K.595
ダニエル・バレンボイム(指揮&ピアノ)

この音楽は本当に美しくも悲しく、どこまでも透明な音楽だと思います。
バレンボイムの弾き振りも秀逸。
皆さん、固唾を飲んで聴いておられました。

とても素敵なひと時でした。
さて、次回は室内楽。ブラームスのクラリネット五重奏曲を採り上げます。

*主催:すみだ学習ガーデン
*会場:すみだ生涯学習センター