「早わかりクラシック音楽入門講座」
≪ ヘンデル:オラトリオ「メサイア」 ≫
第1部:ヘンデルにまつわる3つのエピソード
第2部:オラトリオ「メサイア」を聴く
※使用テキスト「これきから聴きはじめる人のクラシック超入門(野沢龍介監修)」(河出書房新社)
第1部
□ヘンデルにまつわる3つのエピソード
第2回は奇しくもバッハと同年に生まれた天才ヘンデルを採り上げました。
まずは、仕事の場をドイツ国内に限らず、ヨーロッパ中に求めたヘンデルのインターナショナルな姿についてお話させていただきました。中でも、イギリス王室との親密な関わりを通して生まれた名曲「水上の音楽」を聴いていただきました。
①「水上の音楽」第2組曲HWV349
サー・チャールズ・マッケラス指揮セント・ルークス管弦楽団
第2曲「アラ・ホーンパイプ」は誰もが知る名曲だと思っておりましたが、意外にご存じない方が多かったのは新鮮でした。
次に、生涯独身を貫いたというヘンデルの女性遍歴について。基本的にそのあたりの情報はあまりどこにも落ちていないのですが、ハンブルク時代、あるいはロンドン時代にあった「結婚話」をネタに触れさせていただきました。その流れで名曲「オンブラ・アイ・フ」を聴き比べで。
②歌劇「セルセ」より「オンブラ・マイ・フ」
イアン・ボストリッジ(テノール)
ハリー・ビケット指揮エイジ・オブ・インライトメント管弦楽団
③歌劇「セルセ」より「オンブラ・マイ・フ」
ディム・ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)
レイモンド・レッパード指揮イギリス室内管弦楽団
本当に美しく、癒される傑作だと思います。
さらに、小学校の音楽の授業で学習した1曲を。
④調子の良い鍛冶屋
イゾルデ・アールグリム(チェンバロ)
第2部
□オラトリオ「メサイア」を聴く
5分ほどの休憩を挟み、最後は、天才音楽家であり、天才興行師でもあったヘンデルのプロデューサーとしての一面を。1747年のシーズンから自主独立の興行方式を導入し、すべてのリスクを自らが背負った彼のチャレンジ精神にフォーカスを当て、お話ししました。身体に変調を来しながらも馬車馬のように働き、最終的には現在の貨幣価値にして2億円ほどの財産を残したヘンデル。見習うべきところが多いです。
そして、いよいよ「メサイア」を。初演に至る過程を極簡単に紹介した上で、第1部「救世主生誕の預言と降誕」から第12曲の合唱を。まさにキリストが生まれ出づるその瞬間を讃える名曲です。
⑤オラトリオ「メサイア」~第1部第12番合唱
ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団
スティーヴン・クレオベリー指揮ブランデンブルク・コンソート
引き続き第2部「受難と贖罪、そして復活」を全曲鑑賞。
得も言われぬ恍惚感に溢れ、最後の「ハレルヤ・コーラス」は神々しい喜びに満ち充ちます。
天才ヘンデルの芸術はとても奥深く、研究のし甲斐があります。
素敵な2時間を過ごさせていただきました。
次回は古典派音楽の父、ヨーゼフ・ハイドンです。