No.017 「衝撃のスルタノフ!」 2008/2/21

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昨晩、アレクセイ・スルタノフの弾くショパン国際コンクールでのライブ録音を聴きながら、天才というのはどうしてこうも早死にが多いのだろうかとふと考えた。スルタノフというピアニストに関しては正直ノーマークであった。1991年に初来日し、99年まで都合4回日本の地を踏んでいるそうだ。1995年のショパン・コンクールでは1位なしの2位という記録が残っているが、そのあたりもおそらく政治的な何かが動いているのだろう、どうして彼が優勝でないのか不思議なほどテクニックもセンスも申し分のない天才的な演奏なのである。ゆっくりとLiveに浸る余裕がなかったので、とりあえずはショパンの名曲「幻想即興曲」を何度も繰り返し聴く。ルービンシュタインやホロヴィッツなど巨匠といわれるピアニストと比べても全く遜色ないどころかむしろスルタノフの弾くショパンの方が1枚も2枚も上手のように思える。粒の揃ったタッチや変幻自在な旋律の歌わせ方など、かのハイドシェックとはまた違った意味で極上の響きを紡ぎ出す彼の両腕や脳みそは一体どうなっているのだろうかと思わずにはいられない。
ともかく風のように現れ嵐のように去っていったこの夭折の天才の残した音源は極めて少ない。しかも日本国内で入手できる音盤はさらに希少だ。
スルタノフを聴いた感動を思わずコラムに書こうと筆を執ったが、これ以上言葉にできないのが苦しい。文字をいくら並べたところで彼の弾く音楽の魅力の1%も伝えきれない。
百聞は一聴にしかず。