No.036 「どれだけ本気の趣味を持つか」 2022/1/14

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2020年、そして2021年は新型コロナ・ウィルスのパンデミックという脅威的な出来事に踊らされた2年でした。それは今も現在進行形で世間を騒がせていますが、いよいよコロナの本質が見えてきたこと、そして、それはもはやただの風邪に過ぎず、恐れるに足りぬという見解もあり、SNS上では様々な意見が縦横に駆け巡っています。実際僕も、仕事も多少なりとも影響を受け、経済的に逼迫するという事態にも陥りました。しかし、悪いことばかりでなく、オンラインが常識になった今や仕事がより多方面に、そしてより便利に運べるようになったというのも事実です。物事には善悪、表裏両面が必ずあります。メリットもあればデメリットも必ずあるということです。

ところで、ここ2年、コンサートに行く回数が激減しました。特にコロナ禍を恐れて行く回数が減ったというわけではありません。外国の指揮者や演奏家が緊急事態宣言が繰り返される中、なかなか思うように招聘されないということも理由の一つとしてありますが、僕自身の周辺に大きな変化があり、なかなかその時間がとれなくなったというのが実際のところです。

その代わりと言っては何ですが、音盤に接する機会が以前にもまして増えました。気になるボックス・セットなどを手に入れると、それらを聴き通すことにも時間はとられます。まして僕のように一つ一つを丁寧に聴き込み、ブログにまでアップしようとするとすべてを聴くのには相当の時間を要するのです。まぁ、それが楽しみである意味生きているようなものなのですが(笑)。

それにしても40年前、僕がまだ高校生で、買いたい音盤もろくに買えなかった時代と比較すると天と地がひっくり返ったような感すら覚えます。CD1枚がそれこそ100円やそこらの単位で、その演奏家のすべての録音を手に入れることができるのですから。ただ、正直有難みはなくなりましたね。アナログ・レコードを大枚叩いて購入し、それを本当にくり返し何度も擦り切れるほど聴いたあの頃が懐かしいとさえ思えるくらいです。

しかし、それでも今は本当にありがたい時代です。
ということで、久しぶりに昨年購入したお気に入りの音盤を紹介しましょう!

まずは何と言ってもようやく手に入れたビルギット・ニルソンのボックス・セット”La Nilsson”。もうこれは最高のセットです。そして、フルトヴェングラーの商業録音をまとめたボックスも、そのほとんどを所持しているというのにたった1枚の未発表録音があるからといってECサイトのボタンをクリックしてしまいました。これもお勧め。さらには一時期投げ売りされていたカール・ベームのオペラ・ボックスも出色。なかなかキリはないのですが、こういう音盤をじっくり聴き込むことでこの2年間はあっという間に過ぎて往きました。

ちなみに、僕が思うに、仕事のほかにどれだけ本気の趣味を持つかが人生をより豊かにする鍵でしょう。とにかく音盤に触れている時の幸せと言ったら(笑)。ただし、今年はもう少しコンサートにも通えるようにしたいなとは思っております。そういう想いが叶う良い年になれば嬉しいですね。