わかりやすく・・・

mozart_eine_kleine_walter_vpo.jpg「謙虚」という言葉と同じくらい重みを持つのが「わかりやすく」という言葉。そもそもどの年齢のどんな立場の方が聞いてもわかる話し方ができないことには一流とはいえないだろう。相手の状況に応じて言葉の使い方や話の内容をコントロールしなければいけないのだ。
午前8:30から10:30までちょうど2時間、恵比寿にて先日の「野田プロジェクト」の振り返り&今後のアプローチのためのミーティングを開いた。皆様からいただいたアンケート、意見をベースに今後の展開を議論し、やはり参加者に岡本という人間に対して、否、岡本が目指そうとしていることに魅力を感じていただき、ひとりでも多くの方に協力をいただくことが大切だと感じた。まさに「ソーシャル・キャピタル(人脈力)」の重要性である。来月早々にフォローセッションを設け、前回のご参加いただいた方々と「対話」し、岡本のこと、セミナーのことをより詳細にお話させていただこうと思う。いずれにせよ「伝えたいこと」をいかにわかりやすく明文化するかだ。

そういえば、再来週には静岡のとある中学2年生を対象に「キャリア教育」についての講演をすることになっている。ワークを交えてやってほしいという依頼だったので、例によって今朝のチベット体操中、いろんな案が閃いた。担当教諭からいただいた指令は、

1.今現在の自分自身を大切にしていくこと。
2.いまやらなくてはならないものが何であるかを把握すること。
3.1&2のことを基にして、それに向けてこれからの学校生活(家庭生活)を頑張っていこうとする気持ちが高揚すること、がわかってくれるといいなと思っている。

ということ。これはやっぱり「人間力」についてだな・・・。14歳のためにわかりやすく、楽しくやってみよう。

モーツァルト:セレナード第13番K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
ブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1936)

モーツァルトの数多ある作品の中で「人間」なら誰でも一度は耳にしたことがあるであろう名曲。しかも子どもでもすぐに理解できるほど簡潔でわかりやすい形式で書かれているところが凄い!本当に一度聴くだけで心に響くクラシック音楽の最右翼だろう。晩年の家族不和と経済的困窮の中で作曲されたとは思えないほどの「明朗さ」と「前向きさ」。そんな中にわずかな「翳り」、「弱さ」を見せてくれるところがモーツァルトの「強さ」なのかな。そう、陰陽を包括した全てがこの音楽に表現されていると言っても言い過ぎではない。
それにまた、オーパス蔵による70年以上も前の古いSP復刻の生々しい音と、当時のウィーン・フィルのまろやかな響きが輪をかけて恍惚感を演出する。通俗曲と馬鹿にせず、誰にも聴いていただきたい名盤である。

やっぱり、「簡潔にわかりやすく」が大切だ。どんなにいいものをもっていても他人に理解してもらえなければ宝の持ち腐れだから。

ところで、旧友二人と明日から「花巻温泉」方面への一泊旅行に出掛ける。東北は8年ぶりだろうか・・・。さしずめ「癒し」とデトックスの旅かな(申し訳ないが妻は留守番。ごめんね。)


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
岡本さんなら、もうとっくに一読されているとは思いますが、《宇野功芳の「クラシックの聴き方」》(音楽之友社)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1263478
は、またいつもの宇野本かと半ばナメて読み出したら、「そんなことまで言っていいの?それを言っちゃあ、おしまいよ!・・・笑」という、本音まる出しの箇所が数多くある、私が読んだ一連の宇野本で最も興味深い本でした。
ワルターについて宇野氏は山崎浩太郎氏との対談で、次のように述べられていますね。
宇野 ・・・・・ワルターが26年にせっかく初めてベートーヴェンの《第5》を録音して喜んでいた。それが突然ワインガルトナーに変わってしまった。あのころは、ワルターにとって受難の年だよ。1922年には、ワルターの呼び声が高かったベルリン・フィルの常任指揮者をフルトヴェングラーに取られちゃった。
山崎 もともとワルターはベルリンでやっていましたからね。
宇野 直前にはミュンヘンで10年もやって。フルトヴェングラーは何といったって30代の若造だから、そのときはすごいショックを受けたみたいですよ。あれはワルターがユダヤ人だということが大きかった。
それから、今度はナチスにベルリンを追われて。それからウィーンに行って、36年、37年、38年とものすごい人気が出て、ワインガルトナーにかわってどんどんレコード録音したといういい時期もあったけれど、すぐにウィーンも追われた。モナコ国籍を取ったら、そこも追われて、アメリカなんて行きたくもないところに住みつく。どうにもならないですね。でも、カリフォルニアに落ち着いたら、温かいし。晩年はここでもいいかなあと思ったけど、オーケストラが全然違うしね。奥さんが、亡命したあとすぐに亡くなっちゃったし。その前には、娘が夫に殺されたという。まあ、凄い人生ですねえ。本当に、ワルターぐらい苦労した人はいないんじゃない? よくあれでガンにならないでね。普通、あれではなりますよ。その中でヒューマンなものを持ち続けて、ナチスに対してもそこそこの悪意しか持っていなかった。許しちゃうところがある。人を憎まないで、むしろそのいいところを見るというか、善意の人だね。ああいう温かさというか、人間を信じ、神を信じている、そこがワルターのいちばんいいところであり、いちばん弱いところでもあるなあ。ワルターの欠点を探したらそこですね。・・・・・・
至言だと思います。これから初めてワルターの録音を聴かれるかたには、やはりこういう背景の事実は共通認識として知っておいて欲しいです。表面的な演奏論や録音の良し悪しを語る前に・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
最近の宇野先生の本はほとんど口述筆記だといいますから、本音の部分がそのまま活字になって面白いんでしょうね。
もちろんこの本は発売当初すぐに読みました。
>こういう背景の事実は共通認識として知っておいて欲しい
おっしゃるとおりですね。音楽を聴く上でバックグラウンドを知っておくことはとても大切なことだと思います。「クラシック音楽講座」もそういう視点を強めて開いていきたいと思います。

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