フィンランディア~音楽の力

sibelius_finlandia_jarvi.jpg真の自由を手にするためには「自己責任」で物事を全うする決意をすることが重要である。自分で決断し、自分で切り拓き、歩んでいく中に「喜怒哀楽」があり、その中で学び、成長してゆくものなのである・・・。

7月に入ってからジュゼッペ・ヴェルディのことを少々勉強し、音盤をいくつかじっくりと聴いているが、彼の音楽がイタリアの統一や民族独立の旗印になったという事実を知るにつけ、少なくとも19世紀に生きた辺境の国々の人々はいわゆる列強の支配に随分悩み、とにかく自立することを旨とする運動をあちこちで繰り広げたんだろうと、当時の血気盛んな民衆の精神について想いを馳せた。現代の人々に足りない部分は、自ら何かを成し遂げようとする強い信念と意思を伴った「独立心」なのではないだろうか・・・。

若きヴェルディが生み出した躍動するリズムと歌いやすいメロディ。特に初期の歌劇にはその特徴が甚だしい。僕にとっては尻が痒くなるほど「ネアカ」の音楽には、国家統一を目指す大衆を熱狂させるだけの「力」が秘められていたことが手に取るようにわかる。昨日採り上げた「ナブッコ」はもちろんのこと、シェイクスピア原作の画期的傑作「マクベス」(クラウディオ・アバド指揮ミラノ・スカラ座管の超名盤で!)の凄さも想像以上である(これまで僕はヴェルディについてはおざなりにしてきた。若干反省気味にいろいろと聴いてみることにしよう)。

他国の属国になることは屈辱的なことではあるものの、その庇護の下に生きられるという意味において民衆は大変な「恩恵」に浴することになる(少々語弊のある言い方だが)。しかし、一方、自由は剥奪され、結果的に追い詰められ、貧困に喘ぐしかないということも起こりうる。自由でありながら何かに依存したいと欲する勝手さ。人間の意識というのはかくも矛盾したものなのであろうか・・・。

シベリウス:管弦楽曲集
・組曲「カレリア」作品11
・交響詩「大気の乙女」作品70
・アンダンテ・フェスティーヴォ
・交響詩「大洋の女神」作品73
・劇音楽「クリスティアンⅡ世」作品27
・交響詩「フィンランディア」作品26
ソイレ・イソコスキ(ソプラノ)
ネーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響楽団

フィンランド独立運動の象徴となったシベリウスの「フィンランディア」。19世紀末の列強の支配、植民地化という歴史的事実にはひどいものがある。まさにロマノフ王朝・ニコライ2世による侵略である。そんな中、並々ならぬ愛国心のもと創作されたシベリウスの最もポピュラーなこの音楽は、大衆を刺激し、熱狂的なエネルギーを生み出し、民族独立を鼓舞するものとなった。興奮の極みである。そしてまた、音楽的には極めて対照的な「アンダンテ・フェスティーヴォ」の荘厳な精神性も、シベリウス後期の特有の美しさを持ち、同じく祖国を讃える音楽として涙なくしては聴けないものである。

「フィンランディア賛歌」~ウィキペディアより転載
おおフィンランドよ、見よ、おまえの朝が明ける
夜の脅威は消え去った
雲雀は輝く朝を歌う
あたかも空が歌うかのように
夜の力は朝の光によって打ち負かされた
おまえの朝が明ける、祖国よ

おお立ち上がれ、フィンランドよ、高く掲げよ
偉大な記憶の冠が飾るおまえの頭を
おお立ち上がれ、フィンランドよ、おまえは世界に示した
(他国への)隷属を追いやったことを
そしておまえが抑圧に屈しなかったことを
おまえの朝が明ける

ところで、僕は弘兼憲史のマンガが大好きなのだが、今日も「ヤング島耕作主任編」「社長島耕作」の最新刊を読みながら、サラリーマンでも揺るぎない信念を持って「自己責任」で仕事を全うする人たちの格好良さをひしひしと感じた。こういう生き方をしたいものだ(ちなみに「島耕作」シリーズは課長の頃からの愛読書だから、もう20年以上になる)・・・。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
「自己責任」?「イタリア」?「フィンランディア」?「島耕作」の揺るぎない信念?
いったい何についてコメントしたらいいんでしょう?(笑)
今夜は酔っぱらって帰宅して、眠いので短く一発勝負だ!
シベリウス 「フィンランディア」他 トスカニーニ&NBC響
http://www.hmv.co.jp/product/detail/790646
これこそ「揺るぎない信念」の、男らしい「自己責任」溢れる「島耕作」もびっくりの超名演、「イタリア」人の「フィンランディア」なのだ!!
これでいいのだ!!

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
酔いが回って気持ち良いところをありがとうございます。
トスカニーニのシベリウスは聴いたことがないんですが、確かに島耕作もびっくり(笑)の超名演なんでしょうね。
昨日は、疲れていたせいかこじつけで文章を書いたんですが、「瓢箪から駒」です。これは買ってみます。

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