故郷というのは、本当は自分の中にあるものなんだと思った。
それは、あくまで内なる印象によって形成されるもの。懐かしさも想い出も、何もかも。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
「小景異情・その二」
~「室生犀星詩集」(新潮文庫)
子どもの頃に見た風景、また、大人になってからの景色。時を経ても一向に変わらないものがあるとするなら、それは自然の営みそのものであり、また想い出だ。
小雨降る山中湖畔の夜。自然の中で自らと向き合う一刻の永遠。
スメタナの連作交響詩「わが祖国」を聴いた。
・スメタナ:連作交響詩「わが祖国」
―第1曲「高い城(ヴィシェフラド)」
―第2曲「ヴルタヴァ(モルダウ)」
―第3曲「シャールカ」
―第4曲「ボヘミアの森と草原から」
―第5曲「ターボル」
―第6曲「ブラニーク」
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮NHK交響楽団(1968.9.12Live)
マタチッチの指揮は相変わらず豪快でありながら、どこか優しい。作曲家の祖国への想いを何とか素直に描写しようとする愛情に満ちる。
例えば、交響詩「ボヘミアの森と草原から」冒頭は森羅万象の騒めき。音のない世界はなく、至るところに鳥の囀り、水の音、樹々の揺れる音が聴こえる。スメタナの耳は何と良かったことなのか。そして、その音楽を正確さよりもむしろ野人的直観と情感を込め歌い切るマタチッチの力量。
また、交響詩「ヴルタヴァ(モルダウ)」の素朴な響きは、主題を奏する(50年前の!)NHK交響楽団の弦楽器群の懸命さを伝えるようで、思わず心動かされるところ。あの懐かしいテーマが実に美しく歌われるのである。何より後半部で主題が再現される箇所のエネルギーの凄まじさ。
マタチッチは自身の内なる祖国を表現するべく棒をとったのかも。
粘り気のあるその表現は唯一無二のもの。
果たして今夜は良い夢が見れるだろう。
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25年以上前、チェコ各地を訪れた時のよい思い出のひとつが、ワインがとても美味しかったことでした。以後、チェコ産ワインの大ファンとなり、毎年購入するようになっています。
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最近も、時々お気に入りのボヘミアガラスのワイングラスに注いで一献傾け、くつろいでいます。
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スメタナ「わが祖国」を鑑賞しながらだったら懐かしさが倍増して、もっといいでしょうね(笑)。
>雅之様
チェコ産ワインですか!
良いですねぇ。
僕はワインを日常的に飲む習慣がないのですが、さぞかし美味しいんでしょうね。
確かに「わが祖国」をBGMにすると美味さ倍増かもです。