アルベニス没後100年

larrocha_spanish_piano_works.jpg酔っ払って深夜に帰宅すると、思考がまばらでなかなか思うように文章が湧いてこない。人間って素面でないと振り返ることって難しいのだろうか。

酔い覚ましに何を聴こうかと棚を漁り、久しぶりに「スペイン・ピアノ名曲集」とやらを取り出した。アリシア・デ・ラローチャが1972年~80年に録音したいわゆる編集盤である。1曲目のアルベニス作「入江のざわめき(マラゲーニャ)」から早速郷愁感豊かなスペイン独特の世界に誘われる。次の「パバーナ・カプリーチョ」は、まるでショパンのマズルカのよう。そして、組曲「スペイン」から有名なタンゴ。さらに、マテオ・アルベニスの「ソナタニ長調」はスカルラッティかと思わせる音楽。ラローチャの奏でる憂いに満ちたピアノの調べは、100年後の極東に住む我々にも強烈なイメージを植え付ける。

スペイン・ピアノ名曲集
アリシア・デ・ラローチャ(ピアノ)

ラローチャに関しては疎い。わずかにモーツァルトの協奏曲を愛聴するくらいで、実演はおろか音盤ですらほとんど聴いたことがなかった。それでもさすがにお国ものに関しては抜群の冴えを見せるようで、アルベニスやグラナドス、あるいはファリャの音楽がまさにたった今創造されたかのような新鮮さで蘇るところが素晴らしい。

遠くイスパニアの想像的世界に足を踏み入れると酔いが一気に醒める。

満月を横目に神宮の花火に酔いしれる・・・つもりが、結局バーベキューとおしゃべりに花を咲かせ、十数年ぶりの再会や不思議なご縁とともに楽しいひと時を過ごさせていただいた。今日はこれくらいにしておこう・・・。ありがとう。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。
スペイン音楽の旋律が持つ、あの、なま暖かくけだるい夜のしじまの感覚は、いったいどこから来るのでしょうね?
フリギア旋法に似たスペイン音楽のモードは、大きな特色ですよね。
試しににフリギア旋法をギターで爪弾いてみると、スペイン情緒が強くなることを実感します。
http://www.animato-jp.net/~se/scale.html
(↑このサンプルでいいからやってみて!)
ラローチャは、私も録音でしか知りません。ご紹介のモーツァルトの協奏曲の録音の他、シューマンの「謝肉祭」なども素晴らしいと思いました。でも、彼女のピアノは、やはりお国のスペインものに止めを刺しますね。
Paco De Lucia(Guitar)  Almoraima
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1338769
これ、いろいろ思い出がありまして、20年来の愛聴盤です。
複雑なリズムと、スペインの泣きの旋律が無茶苦茶カッコいいので、ぜひ騙されたと思って聴いてみてください。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
以前からご紹介いただいている「モード」についてのサイトは勉強になります。
>なま暖かくけだるい夜のしじまの感覚
的を射た表現ですね。そう、そういう感覚です、スペイン音楽は。
ラローチャの「謝肉祭」も未聴です。機会あらば聴いてみます。
それにしても、デ・ルシアとは!!
昔、何枚かLPを所有しておりましたが、残念ながらすべて処分してしまい、今はCDですら持っていません。
雅之さんのご推薦とあらばこの音盤は必ず聴いてみます。
ありがとうございます。

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