無の境地

合気道の朝稽古で、腕の伸筋と屈筋を使って「脱力」とはどういうことかを教わった。
合気道の凄さはすべてが体感できるところにある。今もそのことについて書こうとするがどう表現していいかわからない。ともかく「緊張」とは「そこに意識を置く(注意を向ける)」ところから始まるみたい。意識してしまうということはすなわち「無」になっていないということ。
達人はどんなときも意識がぶれず、無の状態にある人のことをいうのだと。いやいや、自分がいかに凡人であるかをまた体験させていただいた。無の境地には程遠い(笑)。
どんな時も平然と、そして平常心。言うは易し、行うは難し。日々勉強。

さて、本日は僕の48回目の誕生日である。
新月だということで、午前中は部屋の掃除をし、午後は心機一転、新たに何かが始まりつつあることを予感しリラックスしながら、やるべきことを一つ一つこなす。
おそらく面白い2012年度がまもなくスタートするように思われる。

僕のこれまでの習慣。新しいページを迎える時のJ.S.バッハ。「ヨハネ受難曲」か「マタイ受難曲」か、はたまた「ロ短調ミサ曲」か・・・、などなど候補はあれどやっぱりここは「ゴルトベルク変奏曲」。新たな気持ちでまたこの深遠で崇高な音楽に耳を傾ける。

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲BWV988(ヨージェフ・エトヴェシュ編曲版)
ヨージェフ・エトヴェシュ(ギター)

ゴルトベルク変奏曲の普遍性、永遠性がまたもや証明されるかのような傑作編曲がここにもある。「ギター1本で!!」という驚きと、「もともとギターのために書かれた作品なのか」という錯覚と。確かエトヴェシュはショパンのピアノ作品についてもギター編曲してアルバム化していたと記憶するが(残念ながらこちらの音盤は未所有)、その超絶技巧たるやこれまた半端でない。しかし、クラシック・ギターのためのクラシック音楽という枠からははみ出していないので、そのあたりは非常に保守的といえば保守的。それと、ギターという楽器の構造上の問題もあるのだろう、第25変奏以降が少々弱い(僕的にはいよいよ勢いをまし、いよいよ神の境地に辿り着くようなイメージが欲しいのだが、エトヴェシュは決して人間界から離れない・・・笑)。
おそらく押尾コータローあたりが独自の編曲でバッハの鍵盤作品をギター音楽化するともっと面白いかもな、とふと考える。彼が録音した「ボレロ」などはもの凄かったな、などと回想しながら。

ちなみに、冒頭の伸筋と屈筋の話というのは下記の通り。

相対で組み、仕手は受けに両手をぐっと押してもらう。
第三者が仕手の腕の上側(つまり屈筋側)を触られると押し負けするが、腕の下側(つまり伸筋側)を触られると今度はビクともしない。
要は、触られた瞬間に凡人は意識がそこに向いてしまうので、屈筋側だと負けてしまうということがおこるのである。これは実際体感しないとわからないだろうけれど。

いずれにせよ、合気道は真に興味深い。まさに”ZERO”の状態を体感できる点が僕のお気に入り。


3 COMMENTS

雅之

お誕生日おめでとうございます。

やっぱ岡本さんが生まれた近辺の超名盤でお祝いしなきゃね(笑)。

モーツァルト『魔笛』全曲 クレンペラー&フィルハーモニア管他(録音 1964年3月〜4月 まさに岡本さんが生まれたころ)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3666110

タミーノ:ニコライ・ゲッダ
 パミーナ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ
 パパゲーノ:ヴァルター・ベリー
 夜の女王:ルチア・ポップ
 ザラストロ:ゴットロープ・フリック
 弁者:フランツ・クラス
 第1の侍女:エリーザベト・シュヴァルツコップ
 第2の侍女:クリスタ・ルートヴィヒ
 第3の侍女:マルガ・ヘフゲン・・・・・・

・・・・・・やっぱいつ眺めてもこのメンバーは無茶苦茶豪華ですね。特に誰でもそう思うだろうけど、ルチア・ポップの夜の女王!! それにクレンペラーの指揮も最高ですね。

ベルリオーズ 幻想交響曲 クリュイタンス&パリ音楽院管弦楽団(1964年 5月10日 東京文化会館ライヴ 生まれて間もない赤ん坊が東京文化会館にクラシックを聴きに行けたかってんだ!・・・爆)

ついにこの伝説の超名演もSACDになりましたね(私は最初はLP、今はCDで所有)。
EMIセッション録音でのクリュイタンス指揮極上のラヴェル(こちらは1961~62年録音、私が生まれた近辺)もSACDになりましたね。いいなあ! 

ちょっとだけ物欲が疼いてきました(笑)。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
ありがとうございます。

>生まれた近辺の超名盤

あーー、その手があったか!!(笑)
いやあ、クレンペラーの「魔笛」いいですねぇ、最高ですねぇ。
久しぶりにゆっくり聴いてみたいです。

あと、クリュイタンスの「幻想」東京ライブとラヴェル集はSACD化されましたか!!
こちらは僕もCDで持っておりますが・・・。

>生まれて間もない赤ん坊が東京文化会館にクラシックを聴きに行けたかってんだ!

まぁまぁ(笑)

ところで、生まれた頃の録音といったら、僕の知っている限りではこれです。↓
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2598653

ルービンシュタインのショパン:即興曲集。
明日はこれを聴いてお祝いします。(笑)(ちょうど48周年です)

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