ガブリエル・フォーレの「ジャン・ラシーヌの雅歌」。
僕がフォーレの音楽に開眼したきっかけはかの「レクイエム」ではなく「ラシーヌの雅歌」だった。ニデルメイエール音楽学校の卒業作品として書かれたこの作品は、後の彼の成功を予言する、美しい佳品として仕上がっている(「ラシーヌの雅歌」についてはこちらのサイトに詳しい)。
コロナ禍パンデミックの真っ最中の2021年、ロンドンはカドガン・ホールでの収録は、テイラー・スコット・デイヴィスによってコンサートのために特別にオーケストレーションを施されたものである。
・フォーレ:ジャン・ラシーヌの雅歌作品11(1865)
VOCES8(ヴォーチェス・エイト)
バーナビー・スミス指揮イギリス室内管弦楽団(2021収録)
もともとはオルガン、またはハーモニウムを伴奏に混声4部合唱によって歌われる清澄な音楽が、見事なオーケストレーションにより、静謐な音像を湛える傑作として生まれ変わっている。
僕はこの「ラシーヌの雅歌」を繰り返し聴いた。何度も何度も耳にした。まったく癒される。