
8年前、サントリーホールでキャスリーン・バトルのリサイタルを聴いた。
そこには30余年前の歌声と何も変わらない、むしろ円熟味を増した彼女の歌があった。
僕は心底感激した。

バトルも77歳になったようだ。日本的にいうなら喜寿。おめでたいことだ。
かつて実相寺昭雄監督が演出した映像を観た。
そこには、当時、一世を風靡した若きキャスリーン・バトルの可憐な姿があった。
相変らず、人後に落ちない歌がそこにはあった。
・ヘンデル:歌劇「セルセ」第1幕から「オンブラ・マイ・フ」(1737-38)
・オルフ:「カルミナ・ブラーナ」から第3部「天秤棒に心をかけて」(1937)
・シューベルト:「夜と夢」作品43-2 D827(1825)
キャスリーン・バトル(ソプラノ)
ローレンス・スクロバクス(ピアノ)
実相寺昭雄(演出)(1986収録)
ヘンデル、シューベルト、そしてオルフ、それぞれ約1世紀の隔たりを持つが、すべてが永遠不滅の光輝を放つ傑作たちだ。
普遍的な歌に、永遠の歌唱。録音から40年近くを経ても廃れることのない永久不滅の映像に感謝しかない。
お盆の高原は都会に比べ、比較的涼しく、特に夜など冷房も不要で、秋迫る虫たちの合唱とともに音楽を聴くのにうってつけ。今宵はこの映像を繰り返し観た。完全無欠のソプラノに乾杯だ。
