ショスタコ!!

秋に井上道義氏のプロデュースで「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト」なるイベントが開催される。会場は何と日比谷公会堂。1960年代頃までは海外アーティストの公演はほとんど「日比谷」だったというその会場においてショスタコが鳴り響くのだ。やばい。行きたい・・・。

ショスタコーヴィチは、特に交響曲や弦楽四重奏曲など、ベートーヴェンの同ジャンルの傑作を音楽史上唯一乗り越えた「天才」作曲家であると僕は常々評価する。スターリン政権下の恐怖政治の中、そしてソビエトという社会主義国家の中で体制に従いながらも「自分自身の主張」を影ながら忘れなかった唯一無二の音楽家である。

ところで、彼はショパン国際コンクールで第2位を受賞するほどのピアノの腕前だったらしく自作自演の音盤もCD化されている(僕は未聴)。ベートーヴェンと被るジャンルで屈指の名作を残している彼もピアノ曲は数えるほどである。しかし、その少ないピアノ曲の中で燦然とした輝きを放つ大傑作が「24の前奏曲とフーガ」。その字の如く、J.S.バッハの同名の曲にインスパイアされ生み出された知る人ぞ知る名作なのである。バッハ的なニュアンスの中にいかにも彼らしいモダンな感覚と調性が同居しており、ぜひとも聞いていただきたい曲集である。「いかにもショスタコーヴィチ」という曲があるかと思えば、「ん?ジョージ・ウィンストンか?」という曲もあるのが面白い。

ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ作品87
タチアナ・ニコラーエワ(ピアノ)

この曲の初演者であるニコラーエワの名演奏。一聴あれ。

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アレグロ・コン・ブリオ~第4章 » Blog Archive » 観自在菩薩

[…] ショスタコーヴィチ: ・ピアノ協奏曲第1番ハ短調作品35 ・ピアノ協奏曲第2番ヘ長調作品102 ・ピアノ・ソナタ第2番ロ短調作品61 エリーザベト・レオンスカヤ(ピアノ) ゲーリー・ボードナー(トランペット) ヒュー・ヴォルフ指揮セント・ポール室内管弦楽団 様々なジャンルを吸収し、自身の音楽としてアウフヘーベンするショスタコーヴィチの天才が余すところなく伝えられる名作たち。キース・ジャレットは間違いなくショスタコーヴィチの影響を受けていると、本日、あらためて確信した。 有名な第1協奏曲はともかくとして、第2ソナタの何たる美しさよ。 ほとんど注目されることのない作品のように思うが、「24の前奏曲」から10年を経て創作されたこの音楽の、戦時中の作品にも関わらず何と前向きで希望に満ちていることか(この8年後に大作「24の前奏曲とフーガ」が世に出ることになる。まさにスパイラル的進化を遂げるショスタコのピアノ音楽!)!! […]

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