レントより遅く・・・

こういう陽気な日は「海」だろうと夢想する。
朝から立ちっ放しで少々疲れた。「海」でぼんやりしたいと思ったが、時間が許さず。代わりと言っちゃなんだが、ここはドビュッシーの「海」でも聴きながらぼーっとするかと音盤を漁る。で、ストレートに「海」というのも能がないので、ドビュッシーのピアノ曲を引っ張り出した。ふわふわと雲の上に乗るかのような感覚と印象派っぽい淡い旋律と・・・。
もうかれこれ20年以上前に仕入れたミシェル・ベロフの旧い方の全集から1枚、「ベルガマスク組曲」やアラベスク、「子供の領分」などを収めたもの。
ベロフのドビュッシーの特徴。ひとつ、真に明快。ふたつ、軸がぶれない。みっつ、と言いながら極めて挑戦的。

ドビュッシー:
・ベルガマスク組曲(1890-1905)
・2つのアラベスク(1888-91)
・子供の領分(1906-08)
・レントより遅く(1910)
・小さな黒人(1909)
ミシェル・ベロフ(ピアノ)(1979.12.21&1980.1.21録音)

このアルバムの面白いところは、初期の作品から晩年の傑作までが万遍なく収められているところ。そして、明確なタッチで、どちらかというとストラヴィンスキーや新ウィーン楽派的な不思議な音調をもちながら実にはっきりした表現であるところ。ベロフが後年DENONに録音した全集は、どちらかというと「安定」が売り。一方、こちらの方は前のめりの龍馬的なチャレンジ精神が僕好み。

「レントより遅く」
今の僕の年齢と同じ年にドビュッシーが生み出した傑作。
気怠さと洗練された美しさと。
この頃のドビュッシーはエンマとの危機状態だった。心の内はいかばかりか。
そして、オペラ座ではストラヴィンスキーの「火の鳥」がバレエ・リュスにより初演された。焦ったことだろう。
そして、秋には父親が亡くなる・・・。
何だか胸にぐっとくる。


6 COMMENTS

雅之

おはようございます。

ご紹介の左手が故障した前のベロフのドビュッシーの音盤、若々しくて私も好きです。

今年、嘘か真か全然信用していませんが、ルプーが来日公演する予定ですが、当地でも、前回期待していたドビュッシーではないんですよね。
http://www.shirakawa-hall.com/detail_20121103.html

現在のところ、今年ドビュッシーのピアノ曲の実演を聴く予定は、ルイサダのリサイタル
http://www.pleindire.com/20121109luisada.html
だけですが、どちらかというとショパンがメインです。

でも楽しみです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
そう、ルプー来ますよね。
前回ドタキャンでしたから楽しみにしているのです。
ルイサダのプログラムもなかなか面白そうですね。
今年はドビュッシー年ですから、いろいろと聴いてみたいと思っているところです。

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ふみ

こんばんは。
ベロフのドビュッシー、絶品ですよね。私は後版の方が好きですねぇ。

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ふみ

こんばんは。
おっしゃる通り、新旧どちらも絶品ですよね。ベロフは実演にも触れましたがアンコールのドビュッシーがあまりに素晴らし過ぎて会場の雰囲気が一変したのを今でも覚えています。
是非、私こそ岡本さんとゆっくりお話したいです。しかし、仕事が忙しいので…限定的ではありますが金曜日夜とかなら比較的帰り易いかも知れませんが、岡本さんはいかがでしょうか?
是非、久々にクラシック話に華を咲かせたいです。最近、iPhone以外のオーディオで音楽さえ聴いていないですが…

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岡本 浩和

>ふみ君

>アンコールのドビュッシーがあまりに素晴らし過ぎて会場の雰囲気が一変

ああー、いいねぇ、そういう体験。羨ましいです。

>仕事が忙しいので…限定的ではありますが金曜日夜とかなら比較的帰り易いかも知れません

働いてるねぇ、っていうか、働かされてるのか・・・(笑)
いいよ、スケジュール見て別途連絡します。

>最近、iPhone以外のオーディオで音楽さえ聴いていないですが…

それは不健康な・・・。

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