マタチッチ&チェコ・フィルのブル5

ここ数日じっくり腰を据えて音楽を聴く時間がない(もちろんコンサートに行ったときは集中して聴いているのでそれは別だけれど)。夜遅くに帰宅して準備やら何やらしているうちにあっという間に夜も更ける。ブログ上で採り上げたい音盤、書きたいことは山ほどあるのだが追いつかず。ともかく何も考えずリラックスしたい、そんな思いでいっぱいになる。こういう日には何も考えずぼーっと聴いていられる音楽を求める。それも映像なしのCDあるいはSACDによって(それでも何とかブログを書こうとするのは意地でもあり、悲しき習性でもあり・・・笑)。

久しぶりにマタチッチのブルックナーを聴いた。第7番をはじめとして第9番や第8番や。
これらは僕がまだ高校生の時分、ブルックナーに目覚めた頃によく聴いていたもの。特にチェコ・フィルとのスプラフォン盤は録音から40年以上を経た今聴いても新鮮で瑞々しく・・・。

ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1970.11.2-6録音)

この動的な第5交響曲は聴いていて思わず熱くなり、時にのけ反るほどいまだに感動を呼び起こす。中期の傑作、というよりブルックナーの交響曲の中で最高の逸品だと評するマニアは多い。僕もそのひとり。しかしながら、聴き始めの頃はわからなかった。どちらかというとある程度ブルックナーの音楽を究めつつあったある日突然理解できた。
きっかけはなんだったのだろう?
振り返ってみると朝比奈先生の実演に依るところが大きかったかも。
とにかく終楽章コーダの倍管にしてのコーダの圧倒的なフィニッシュに度肝を抜かれ、心躍り魂が震えた。

朝比奈隆&大阪フィルのブル5に触れた最初は1990年の東京定期演奏会、開館間もない渋谷東急Bunkamuraオーチャードホールにて。ぶっ飛んだ。それから・・・、1995年頃だったか、確か上野での都響とのもの(天覧コンサートだった)。そして、1998年の大阪フィルの東京定期(こちらも天覧コンサート!)。あ、そういえば実相寺昭雄監督が映像収録した1992年~93年の新日本フィルとのツィクルスも体験しているからその時のものも大変な名演奏だった(CDやDVDでも観ることができる)。他にもあったなぁ・・・。
以来、ブルックナーの第5交響曲は僕にとっての至宝となる。最近は滅多に聴くことはなくなったが、ひとたび耳を傾けると心底惹き込まれる。

ところで、マタチッチのブル5。
若い頃、ブルックナーはインテンポでかつ重心の低いものに限るという錯覚を起こしていた。考えてみるとこのマタチッチ盤、決してインテンポとは言えない。それでも大変に心打たれたし、今もその感覚は変わらない(いや、昔以上にこの解釈好きかも。というよりマタチッチは立派なブルックナー指揮者として衆目の一致するところだから別か・・・)。怒涛のフィナーレ・コーダに雷に打たれるが如く。

要は世の中に存在する演奏解釈に一つも無駄はないということ。
好き嫌いせず、あるいは聴かず嫌いで判断せずまずは触れてみること。
どんな音楽にも学ぶべきことはある。

4 COMMENTS

ふみ

ブル5、最高ですよね。ティレの実演があまりに凄過ぎました。彼のベトやらブルなんてどうでもいいです。

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雅之

ブルはvn con、最高です。アンナル・フォレソーの実演があまりに凄すぎました。ティレのベトやらブルなんてどうでもいいです。

ブル:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集 フォレソー、ルード&ノルウェー放送管(SACD+ブルーレイ音声ディスク)
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3814179

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岡本 浩和

>雅之様

さすが雅之さん一流のツッコミ!!
しかし、ブルという作曲家は初めて聴きました。
そんなにいいですか?!
聴いてみたいところです。

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