アンジェラ・ヒューイット ピアノ・リサイタル2015第一夜

hewitt_20150427185ポール・マッカートニーの東京ドーム公演は大変に素晴らしいものだったよう。しかし、僕は行かなかった(行けなかった)。後悔先に立たずとはこのことだろうが、あえて僕はアンジェラ・ヒューイットのリサイタルを選んだ。それは、ある意味正解だった(と思う。負け惜しみかな?笑)。

人間が拵えた概念、民族性とか国民性とか、音楽そのものが直接そのことを物語るのだから本当に面白い。ましてや作曲家の個性などは如実に反映されるゆえ音楽は真に正直だ。バロック音楽と20世紀スペイン音楽の饗宴(アンコールのドビュッシーにあえて異質ながら共通性を感じたのは予想外)。意外な組み合わせに人間の深層にあるナショナリズムというものを知る。

アンジェラ・ヒューイットの演奏は、個別化をことさらに強調したもので、おそらくそれは彼女の奥底に内在する先天的な明るさから発せられたものだろうと想像した。
弾けるパッションはスペイン音楽の表現を一層濃いものにする。そして、前後半冒頭のドメニコ・スカルラッティは芯の太い、実にしっかりした音で奏でられ、すべての聴衆を彼女独自の世界にあっという間に誘ってくれた。

アンジェラ・ヒューイット ピアノ・リサイタル第一夜
2015年4月27日(月)19時開演
王子ホール
アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタより
・ニ短調K9, L413
・ハ長調K159, L104
・ロ短調K87, L33
・ニ長調K29, L461
グラナドス:「12のスペイン舞曲集」より
・第4曲「ビリャネスカ」
・第5曲「アンダルーサ(プライエーラ)」
・第6曲「ホタ(ロンデーリャ・アラゴネーサ)」
グラナドス:「ゴイェスカス」より
・第4曲「嘆き、またはマハと夜鳴き鶯」
・第7曲「わら人形」
休憩
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタより
・イ長調K113, L345
・ニ長調K430, L463
・ト短調K8, L488
・ト長調K13, L486
アルベニス:「スペイン組曲」作品47より
・第3曲「セヴィーリャ(セヴィリャナス)
・第5曲「アストゥリアス(伝説)」
・第7曲「カスティーリャ(セギディーリャス)」
ファリャ:ベティカ幻想曲
~アンコール
・ドメニコ・スカルラッティ:ソナタホ長調K380, L23
・ドビュッシー:月の光

白眉はアルベニス!!
第5曲「アストゥリアス(伝説)」の、いかにもスペイン情緒あふれる旋律と、ヒューイットの類稀なる情熱的演奏に卒倒した。
そして、スキャンダラスなストラヴィンスキーを思わせる、前衛的変拍子のファリャに舌を巻いた。この曲はアルトゥール・ルービンシュタインの委嘱によるものらしいが、これほどに先鋭化された音の塊に出くわし、しかもそれに思いのほか心を動かされるという体験は滅多にない。
もちろん絶妙に組み立てられたスカルラッティのソナタについては言わずもがな。

溌剌なスカルラッティに涙した。特に、アンコールの有名なホ長調ソナタの、テンポは遅めだけれど音の移ろいのあまりの美しさにヒューイットの天才を見た。音楽がそれこそ「時の芸術」であることを思い知らされた一夜。
音楽は縦横無尽だった。室内楽ホールである王子ホールで良かった。

 

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4 COMMENTS

岡本 浩和

>畑山千恵子様
あ、そうでしたか!
素晴らしかったですよね。
本日の「ゴルトベルク変奏曲」に行けなかったことが返す返すも残念ですが。

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畑山千恵子

「ゴールドベルク変奏曲」も行ってきました。こちらも大変素晴らしい演奏でしたね。

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