井上陽水の「氷の世界」(1973)を聴いて思ふ

koori_no_sekai_yosui独特の言葉の使い方、一般的な意味合いを無視して語感だけで単語を並べることで新たな意味を生み出すというその言葉遊びに、音楽同様言葉も無限なんだとふと気がついた。
彼のその方法はデビュー当時から変わらない。その声も、歌唱のスタイルも、当然創造される音楽の質も・・・、一切合財何も変わらない。
僕たちの心に直接的に訴えかけるヘヴィーな歌詞と軽やかな音、あるいはその逆。

日本語の美しさを思う。
明日は雪だというその前夜の空気は妙に乾燥する。
冷たい細かい雨が降る。
酷寒なんだけれど、それでいて思ったほど寒さを感じさせない不思議。熱いんだ。
何だか「氷の世界」の体現のよう。

今年の寒さは〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇うよ
毎日 吹雪 〇〇 〇〇〇〇

間奏で聴かれる、陽水自身によるブルース・ハープの何という色感。
ちょっとしたこういう味付けが、井上陽水の世界を拡げていくんだ・・・。

そして、哀感たっぷりの曲調を持つ小椋佳作詞による「白い一日」での、アコースティック・ギターの深みある音に涙。

〇〇〇〇〇〇器をながめて〇〇〇〇〇〇
かと言っ〇〇〇〇〇〇 そんなふう〇〇〇〇〇〇で
僕の一日〇〇〇〇〇〇

小椋佳の言葉は陽水のそれとまた違って実に現実的だ。

また、「自己嫌悪」という作品では、初期陽水作品に特長的な「毒」が彼自身の囁くような優しい歌唱で放出される。ここでの音楽は真にきれいだ。

・井上陽水:氷の世界(1973)

Personnel
井上陽水 (song writing, singer, acoustic guitar, blues harp)
Peter Robinson (piano, acoustic guitar)
Anne Odll (piano)
深町純 (piano, synthesizer, mellotron, electric harpsichord)
松岡直也 (piano)
John Gustagson (electric bass)
細野晴臣 (electric bass)
高中正義 (electric bass, electric guitar)
山村隆夫 (electric bass)
Barry De Souga (drums)
林立夫 (drums)
見砂和照 (drums)
村上修一 (drums)
Joe Gammer (electric guitar)
Mark Warner (electric guitar, acoustic guitar)
安田裕美 (acoustic guitar, flat mandolin)
Ray Senwick (acoustic guitar)
Judd Mcniven (blues harp)
大江俊幸 (steel guitar)
谷岡としお (violin)
Arrival (chorus)
星勝 (chorus, arranger)

〇〇〇〇〇〇を手紙につめて
〇〇〇〇〇〇むあなたに送る
あなたに〇〇〇〇〇〇た文字が
季節の〇〇〇〇〇〇しまう

名作「心もよう」についてはあえて何も語る必要なし。
幼心に聴いていたあの頃の懐かしさ。ほとんどタイム・スリップ状態。

そして、「FUN」は、陽水らしいまさに言葉の魔法。

五月雨 夕立 時雨
みんな 〇〇〇〇〇〇けれど
いつか〇〇〇〇〇〇を
君は〇〇〇〇〇〇のかな?

何て温かい!!
さらに、ラスト・ナンバー「おやすみ」にある癒しこそ井上陽水の真骨頂。

あやとり糸は
切〇〇〇〇〇〇に
想い〇〇〇〇〇〇ば
〇〇〇〇〇〇
もう すべ〇〇〇〇〇〇に
みんな 〇〇〇〇〇〇たのに

あまりの、あまりの優しさに心が震え、堪らない。

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2 COMMENTS

岡本 浩和

>雅之様

>今も昔もバカでしたから・・・。

何をおっしゃいますか!
子供心に聴いていたこと自体がすごいのです。
そして、イーハトーヴから「私をスキーに・・・」につながるところがまた素晴らしい。
ありがとうございます。

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