生きがい、やりがい

第3回「天職発見講座~転職を成功に導く3つの鍵~」が無事終了した。天職発見といっても、ごくごく当たり前のことを当たり前の切り口で提示するのだが、意外に盲点のようで参加者からは毎々驚きの声があがる。

長いこと学生や若手社会人のキャリア形成に関わってきて、それこそ僕の「天職」が人の「生きがい」や「やりがい」をサポートすることなんだと再確認する今日この頃(笑)。
人は誰でも生まれながらに「テーマ」を持って生まれて来る。集団生活の中でいろいろな体験を通して―そこにはポジティブな体験もあればトラウマになるようなネガティブなものもあろう―、そのテーマがいつの間にかくすんだり、厚い殻に閉じ込められたり、気が付くと子どもの頃に持っていた純真さや、あるいは「なりたかったものが何だったのか?」などをすっかり忘れてしまう。でも、じっくりと深掘りし、思い起こし作業をすることで「原石」がふとした瞬間に見つかる。そこに醍醐味がある。世間一般でいう「自己分析」ということかもしれないが、ペーパー上でなく、あくまで他者との「対話」を前提にした上での「自己分析」というのが大事であり、その方法が極めて貴重なのである。

作曲家が気に入った主題をもとに変奏するヴァリエーションという楽曲を僕はことのほか好む。人生とは変奏曲のようなものか・・・。J.S.バッハの「ゴルトベルク変奏曲」、ベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」を2大巨頭にして、モーツァルトやブラームスや、メンデルスゾーン、ラフマニノフなど、もうどこをどう切り取っても宝物になるような、その作曲家の全精魂が込められているような作品が多いのも興味をそそる点。

ラフマニノフ:
・ピアノ協奏曲第4番ト短調作品40
・パガニーニの主題による狂詩曲作品43
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団

ひょっとするとラフマニノフの最高傑作か?!と思わせるこのヴァリエーションが無性に聴きたくなることがある。僕がそういう時に必ず取り出すのがこのアシュケナージ&プレヴィン盤。アシュケナージの緻密で良くも悪くも優等生的な解釈に寄り添うプレヴィンの縦横無尽で型にはまらない動きが見事にマッチ(呼吸もピッタリ)。しかも、(性格は違うものの)今や2人ともピアニストであり指揮者であるというキャリアの相似・・・。
どんな生き方でもいい、どんな方法でだって進めばよい。遅いも速いも関係なし。結果としてゴールに辿り着ければよし。それには「目標」イメージと地道な行動。楽しいときもあれば苦しいときもある、悲しみに満ちた瞬間があると思えば次の瞬間に喜びに変貌する。第18変奏の愛に満ちたいかにもラフマニノフらしい旋律・・・。嗚呼、素敵。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。

>悲しみに満ちた瞬間があると思えば次の瞬間に喜びに変貌する。

こういうお言葉に端々に私は共感します。加えて、私が若い世代に伝えたいのは、回り道の大切さと、人生で本当の勝負は挫折してからだ、ということ。

世評が高くずっと気になっていた邦画、「悪人」「告白」、そして「白夜行」を、昨日BDで立て続けに観ました。一昨日の「SPACE BATTLESHIP ヤマト」を加えると、二日で4本鑑賞したことになり、さすがに疲れました。それぞれ原作自体が名作ですが、特に「悪人」と「告白」は、人間の内面の描き方が半端でなく、圧倒されました。「白夜行」は原作のほうが好きですが、それでも困難な映像化へのチャレンジに、拍手を贈りたくなりました。

BD、DVDの楽しみはメイキング映像を観られること。今回観た4作品とも、メイキングで作り手の作品への熱い思いを、より深く理解することができました。それにしても映画監督という職業は、オーケストラの指揮者とやってることはまったく一緒だなあと感じました。

「白夜行」で、美しい美貌と冷酷な心を持つ悪女、雪穂を演じた堀北真希さんは、インタビューでこう語っています。

「人の負の部分を描いている作品ですので、私自身も撮影中は精神的にきつかったこともありました。負の部分を見るというのは、なかなか良い気持ちにはならないものだと思いますが、それを認識した上で今度は自分が良い事に出会ったり楽しいことがあると、物事に対して深みは増すのかなと思います」

さすがは堀北さん、若いのに偉いなあと、おじさんはますますファンになりました!!(爆)

 

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。

>回り道の大切さと、人生で本当の勝負は挫折してからだ、ということ。
同感です。

映画4本となると相当お疲れのことと思います。残念ながらどの映画も観ておりませんが、「白夜行」などは小説で読んだときいい作品だなと思いました。
確かにメイキング映像というのは貴重ですね。

>映画監督という職業は、オーケストラの指揮者とやってることはまったく一緒だなあと感じました。

なるほど!

あと何より堀北真希の「負の部分を見るというのは、なかなか良い気持ちにはならないものだと思いますが、それを認識した上で今度は自分が良い事に出会ったり楽しいことがあると、物事に対して深みは増すのかなと思います」という言葉に同じく感動しました!本当に若いのによくわかってらっしゃる!!

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