いよいよ新たな一歩を

30年前の「レコード芸術」誌を見ると、その頃のことが昨日のことのように思い出される。高校生の僕にとってはいわばクラシック音楽の指南書。ゆえに毎月20日の発売を楽しみにしていた。それこそ広告の隅々、連載記事の隅々まで熟読して勉強した。いや、勉強というよりそのことが本当に面白かった。試験勉強や受験勉強などよりよっぽど集中できた(僕が世界史を得意になったのもクラシック音楽、「レコ芸」のお陰だともいえる。それに今となってはティーンエイジャーの時の集中力には全くもって敵わない。それこそマーラーやワーグナーを今から勉強するとしたなら恐ろしさすら感じる。時間とエネルギーを持て余していたあの頃に十分聴き込んでいて良かった・・・)。

もちろんインターネットもパソコンもない時代。記事の構成から写植そのものも古びた感が否めないが、逆にアナログ的な温かみが伝わってきてほっとした気分になる。そう、LPレコードをビニール・スリーヴから取り出して大事に聴くときのようなあの感覚。

ちょうど1980年、81年のものを思わず斜め読みしたが、ブルックナーの素晴らしさを教えられたのもこの雑誌だったし、フルトヴェングラーの凄さについて教えられたのもこの雑誌からだったことを思い出した。懐古趣味になるのは情けないものだが、執筆陣も昔懐かしい重鎮の先生方が並び、あの頃の「レコード芸術」の内容は本当に素晴らしかった。

さて、夥しい数の音盤類をとりあえず段ボールに詰めた。明日は新月である。
いよいよ新たな一歩を踏み出すことになる。どんな未来が待っているのか楽しみだ。

ということで、Tahraから初めてリリースされたとき、聴いてぶったまげた演奏を久しぶりに。残響の少ない乾いた音の塊が直接心に届く巨匠渾身の大演奏。

ブラームス:
・ハイドンの主題による変奏曲作品56a
・交響曲第1番ハ短調作品68
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮北ドイツ放送交響楽団(1951.10.27Live)

60年前の壮絶な記録!
ブラームスの第1交響曲を得意としていたフルトヴェングラーの「間(ま)」、そして「魔」・・・、痺れる!!!引っ張って、引っ張って、引っ張って・・・、止めて、止めて、止めて・・・、一気に爆発する様。そもそもこの音楽自体がそれほど劇的なものなのかどうなのかそのあたりは何とも言えないが、この演奏は闘いである。それも自分自身との。

身の回りに起こることはすべて自らの鏡、すなわち投影であるという。誰のせいにもできない、そう、結局自分との闘いなのだ。自身で選択し、自らの足で自立して歩いてゆくことが大切だと一層思えるこの頃・・・。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。ずいぶんご無沙汰しております。久しくコメントせず申し訳ありません。

岡本さんに負けず(笑)、私の身にも、この9月は超多忙に加え大きな変化があったのですが、その内容はとてもこのコメント欄では語り尽くせません。ぜひまたお会いして、一献さしあげた上でじっくりお話ししたいものです。

今日のところは私の近況についてのヒントをひとつだけ。
このコンサートホールが身近な存在になりました。

http://www.shirakawa-hall.com/

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E4%BA%95%E4%BD%8F%E5%8F%8B%E6%B5%B7%E4%B8%8A%E3%81%97%E3%82%89%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
ご無沙汰しております。約1か月ぶりのご登場ですね(笑)。
この1か月で吃驚するような変化がありましたが、同じくここでは語り切れません。
雅之さんの身の上話と合わせてぜひどこかで語り合いたいものです。
状況の機会ありましたらぜひご連絡ください。久しぶりにサシでのオフ会をやりましょう。

ところでしらかわホールが身近になったとは!
出演されるんですか??
それとも出資でもされたのですか?
皆目見当もつきません。

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