モンポウ・プレイズ・モンポウ「歌と踊り」ほかを聴いて思ふ

mompou_cancons_i_danses孤独に、そして静かに・・・、そんな言葉が相応しいフェデリコ・モンポウ。
僕が初めてその名前を知ったのは1980年代の初め、「レコード芸術」誌上で。掲載号はすでに手元になく、どういう記事だったか、あるいは広告だったのかすっかり忘れた。確か熊本マリさんのインタビューだったような・・・。

「自作自演集」の1枚を聴いて、ほっとした。安堵の音楽とでもいうのか・・・。梅雨時や黄昏時や、独り静かに耽るときの座右の盤。
スペイン情緒というものとはまた違う。明らかにショパンやドビュッシーや、先達の音楽を十全に吸収し、しかもモンポウならではの清澄な音楽が明滅する。

途中、神経衰弱により彼は作曲の筆をしばらく置いた。しかしそれでも人生の長い期間にわたって書き綴られた「歌と踊り」は、ある意味ショパンの「マズルカ」を髣髴とさせる。
ここにはモンポウのすべてが刻まれる。

モンポウ:
・歌と踊り(1921-1962)
・ゆりかごの歌(1951)
・魔法の歌(1917-1919)
・風景(1942-1960)
フェデリコ・モンポウ(ピアノ)(1974録音)

「魔法の歌」はごく短い音楽が表情を変え、まさに魔法の如く煌めく。何というインスピレーション!第1次大戦を避け、祖国に戻ったモンポウが2年の歳月をかけて作曲した傑作なのである。

「風景」はモンポウの内側に在る心象だ。心の情景があまりに見事に音化されており涙を誘う。第1曲「泉と鐘」の深い祈りよ。とても楽器で奏でられているとは思えない、楽器を超えたモンポウの心のタペストリー。後に妻となったカルメン・ブラーボに献呈されている。第2曲「湖」は一条の光が差し、水面にきらきら反射する様を示すよう。何という美しさ。そして、最後に作曲された第3曲「ガリシアの馬車」はいかにも現代音楽風の不協和音に彩られ、モンポウが単に流行の、ただ静謐で美しい音楽を創出したのではないことを証明する。

またしてもスペインに思いを馳せる。

 


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