一歩一歩・・・ベートーヴェンの作品110

どういうわけか愛知とし子のリサイタル前に必ずと言っていいほどポリーニのベートーヴェンを聴く。好んで取り出すわけではないのだが、スコアの確認という意味では何かと都合がいいのかもしれないし、反面教師的にここはもっとこうした方がベターだとか考える材料に好都合だから、本人から特別の指示なしにあえて僕から彼の演奏を聴くようにしている。ポリーニの演奏は、好き嫌いで言えばいろいろとあるにはあるが、タッチが明晰かつ頑強、一部の隙もないので「予習」や「復習」するのには適しているのかな。

どうも僕は複数を相手にするより、個を相手に「人生相談」紛いのカウンセリングをするのが得意、否、好きなよう。初対面の人間でもあっという間に心を開き、そんなことまで話していいのかと思うような内容が飛び出すことも多々。就職の相談であれ、人間関係の悩み相談であれ、仕事の成果についてのそれであれ、何をどうすればうまくゆくのか少し話を聞けばよくわかる(とはいえ、自分のことについてはどうもよくわからない。何とも人間というものを創造した神様は意地悪なことか・・・)。

ポリーニの元気溌剌な作品110。あっという間に終わった(笑)。では次に・・・、ということでハイドシェックが若い頃EMIに録音した全集から。旋律の歌わせ方をためて、憧れに満ちた第1楽章の冒頭からもうこれはハイドシェックの世界。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番変ロ長調作品110
エリック・ハイドシェック(ピアノ)

天国と地獄を見せ、そして長い階段をひとつずつ歩むように登っていく様。悟りを開いたベートーヴェンが、お芝居と決別し、真実の世界を追求しようと孤高の世界に引きこもりながら創造したのであろう最後の3曲のソナタは、いずれも表現するのが相当に難しいよう。その年齢のその時期の想いを楽想に乗せることで、その人独自の世界観が垣間見せることができるのだからともかく悩まず、前進。

そして次に、内田光子が数年前にリリースした録音
いかにも中性的で中庸な、音楽しか感じさせない世界もなかなかのもの。今日の僕の心境からするとこれが一番ぴったり。

さて、愛知とし子は当日どんな演奏をするのだろうか・・・。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。

最近、だらだらの長文コメントが続きご迷惑をおかけしておりますので(笑)、
今日は短く!

(ポリーニは、)著名なピアニスト、ミケランジェリ、ブレンデルと同じ1月5日生まれ。3人は11年ずつ年が離れている(ミケランジェリは1920年、ブレンデルは1931年、ポリーニは1942年生まれ)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B

ぎゃほーーん!!!!!(のだめ風!) そのこと、さっき知りました!
私の誕生日も1月5日!!(ただ、1962年生まれなので巨匠になれなかっただけ・・・涙)

ミケランジェリ、ブレンデル、ポリーニ、みんないっぺんに大好きになりました♡

人が人を好きになる動機って単純♡♡♡

返信する
雅之

岡本さんも、生まれ年1964年なので、
もし1月5日生まれだったら、
ポリーニの22年後なので、きっと巨匠ピアニストになれてたぞ。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
おー、これはびっくりです。

おそらく記事の出所はここでしょうかね?↓
http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20090106/1011027/

>もし1月5日生まれだったら、
ポリーニの22年後なので、きっと巨匠ピアニストになれてたぞ。

残念・・・、2ヶ月半ほど遅かった!(笑)

>ミケランジェリ、ブレンデル、ポリーニ

僕も急に親近感が湧いてきました(笑)。

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