若葉の季節にルクーを聴く

lekeu_grumiaux.jpg「愛知とし子ピアノ・リサイタル」まで残り1週間になった。僕は当日受付あたりで接客したり会場内でVTRを回したりするだけなので焦りも何もない(笑)が、本人はそろそろ緊張してきたらしく練習にも余念がない。昼間から延々とピアノの音が響き、「熱情」ソナタやショパンのバラード第1番、幻想即興曲などがみるみるうちにエネルギッシュで愉悦に満ちた音塊と化し、それらしい姿を現し始めている。ちょっと大袈裟な言い方だが、杉並公会堂を埋め尽くした聴衆の皆様を相当感動させてくれるのではないかと今から当日が楽しみだ。

昨日からR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタを何度も聴き返している。本当に良い曲だと思う。エドガー・ケイシー曰く「憂鬱な時や気分が落ち込んだ時には、いつでも音楽を鳴らしなさい。この場合、弦楽器なら何でもよい。これらはあなたが悲観と楽観との間の溝を埋める手助けをしてくれる」。確かに弦楽合奏の音楽を聴くと、心が癒されとても落ち着いた気分になる。サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」やグスタフ・マーラーの交響曲第5番~アダージェットなど、本当に涙が出るほど感動的な音楽であり、特にクラシック音楽を聴き始めの入門者の方にはおススメの名曲である。
ショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタやヴィオラ・ソナタを聴き、フランクのヴァイオリン・ソナタを聴き、そして今後ろで鳴っているのはルクーのヴァイオリン・ソナタ。

ルクー:ヴァイオリン・ソナタト長調
アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
ディノラ・ヴァルシ(ピアノ)

若干24歳で腸チフスのため夭折したベルギーの作曲家ギョーム・ルクーの知られざる傑作(ヴァイオリン音楽好きには有名だろうが)。19世紀の浪漫性を残した美しい音楽。明るくきれいなメロディーをもつ第1楽章に始まり、幻想的で癒しに満ちた第2楽章(フランクのソナタを髣髴とさせる)を経、快活で悦びでいっぱいのフィナーレに至る30分ほどの佳曲。この音楽を知らずして過ごすのはあまりにももったいない。
かつてグリュミオーの弾くバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータを愛聴していたが(この音盤も以前とりあげたシェリングとは別の意味で素晴らしい演奏)、彼の弾くヴァイオリンを久しぶりに聴いた。さすがにルクーはお国ものだけあり、彼の右に出る者はいない。
フランス音楽(田舎者のくせにやけに高慢な態度をとる似非ブルジョワ的な感じが特に)は少々苦手だったが、ここのところいろいろと耳にたこができるほど聴くにつれ、良さがわかってきた。勝手な偏見だったな・・・。
特にルクーは師フランクやワーグナーの影響を受けているだけあり、どちらかというとドイツ的な重厚な精神かつ狂おしいまでのロマンティックな詩情を内に秘めているところが僕の好みだ。

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