芸術は神の微笑である

あちこち思考が飛ぶ。
集中力に欠くのではない。インスピレーションが降って湧くという感じ。
ここのところ音楽についても様々。たまたまジミヘンの流れからドアーズの3枚目を聴いていて、ロビー・クリーガーのギター・ソロがいかす”Spanish Caravan”のところで、ナルシソ・イエペスの弾くアルベニスの作品が重なった。やっぱり音楽に境界線はない。ジャンルという意味でも地域という意味でも、もちろん言語という意味においても。

20世紀の初頭のパリ界隈は本当に興味深い。ドビュッシーやサティ、ラヴェルがいて、ディアギレフ、ストラヴィンスキーがいる。スペインからはアルベニスやマヌエル・デ・ファリャ。あらゆる「血」が混在し、芸術が肥大化、そして前衛化してゆく様を当時のパリの人々は目の当たりにしていたのか。何と刺激的な・・・。

ドビュッシーにとってもラヴェルにとってもスペイン音楽は憧れだった。エキゾチックで情熱的で、しかも哀愁漂う音調に、いかにも人間っぽい温かさを見出し、僕たちは安心を覚える。それが仮にたった一本のギターで為された演奏であっても。

ギター小品名曲集
・タルレガ:アルハンブラの想い出
・スカルラッティ:ソナタホ短調L.352
・J.S.バッハ:ブーレホ短調~リュート組曲第1番BWV996
・ル・ロワ:パセメッツェとポワトゥーのブランル
・J.S.バッハ:サラバンドホ短調~リュート組曲第1番BWV996
・作曲者不詳:サルタレッロ
・タルレガ:アルボラーダ
・ファリャ:粉屋の踊り~バレエ組曲「三角帽子」
・リョベート:2つのカタロニア民謡
・ルイス・ピポー:舞曲第1番
・ヴィラ=ロボス:前奏曲第1番ホ短調
・プホール:くまんばち
・バカリッセ:パサピエ
・アルベニス:レイェンダ(セゴビア編曲)
・アルベニス:朱色の塔(イエペス編曲)
・アルベニス:入り江のざわめき(イエペス編曲)
・グラナドス:スペイン舞曲第4番(イエペス編曲)
・トゥリーナ:ファンダンギーリョ作品36
・作曲者不詳:愛のロマンス(イエペス編曲)
ナルシソ・イエペス(ギター)(1970.10&1971.8録音)

1曲目が名曲「アルハンブラの想い出」、そしてラストが「愛のロマンス(禁じられた遊び)」というクラシック・ギター音楽の王道である2曲に挟まれてスペインの作曲家やバッハ、スカルラッティの作品など19曲が収められる。秋深まる今頃にはうってつけで、何ともセンチメンタルな郷愁に誘われる。
ロビー・クリーガーは”Spanish Caravan”においてアルベニスの(というよりセゴビアの)「レイェンダ」から影響を受けていそうだ。あるいはそこから拝借しているかも。なぜならクリーガーにとってアンドレス・セゴビアは神のような存在だから。ついでにセゴビア自身の演奏による「レイェンダ」も聴いてみた。優劣つけ難いが、セゴビアの方が色気があるように感じられる(録音の関係もあるので何とも判断できないのだけれど)。


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