beethoven_10_abq.jpgちょうど2週間ほどどうも「疲れ」が身体にきていた。「疲れ」といっても、それはすなわち「憑かれ」のこと。僕の場合、胃の上部辺りにいつも違和感を覚えるようになる。特別な理由は見当たらない。昔は単なる「胃酸過多」だと思い、病院に行って薬を処方してもらっていたのだが、ある時とある先生から「何か念のようなものに憑かれているような状態ですね」と言われてはっとした。自分の弱い部分にそれが出るらしいのだ。その時もレイキ・ヒーリングによってあっという間に「憑きもの」がとれた。以来あまり薬に頼らず該当部位を癒すことに注力するのだが、今回はやけに長引いた。

今朝起きてからどういうわけか心身の調子が抜群に良くなっている。地球に変化が起きたんじゃないのかと思われるほど「何か」が違うのだ。すっきりと気持ちよい。振り返って考えてみると「違和感」を感じたのはこの前の満月の翌々日、すなわち11日から。そして、昨日24日は新月。不思議なことにちょうど月の満ち欠けと連動するかのようにその間2週間だ。そういえば、「月」と「憑き」は日本語では「つき」と発音する。潮の満ち欠けや女性の生理など、「月」が地球や人間に影響を与えているのは既知の事実だが、そういうことって日常的にはあまり意識しないものだから、今回のような経験をするとなかなか面白い。前にもブログで採り上げたシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」も詩の内容が気違い染みたものだし、Pink Floydの「The Dark Side of the Moon」が邦題を「狂気」というように「憑き」をテーマにしていることを考えると、月というのは神聖である反面人間の負の部分に影響を与える要素(あるいはイメージ)をもつのだろう(英語でlunaticは「気違い」を意味するし・・・)。月については勉強不足なのでこれ以上のことはまったく言及しかねるが。普段意識しないことに意識を留めると新しい発見がある。

ギーゼキングの「皇帝」を聴いた。ブルーノ・ワルター&ウィーン・フィルの伴奏によるSP復刻盤である。何度聴いてもあまり心に響かない。ギーゼキングのピアノについてはもっぱら名盤の誉れ高いモーツァルトのソナタ集を聴いても一向に感動を与えてくれない。どこがいいのやらよくわからないのだ。多分、彼もケンプ同様ライブの人なんだろうと思う。
ところで・・・、ベートーヴェンが「皇帝」を作曲した当時のことを調べてみると面白い。1809年から10年ごろのベートーヴェンの身辺では公私共に様々な出来事が起こっていた。ナポレオン軍のウィーン侵攻であるとか、プライベートでは結婚まで考えた恋愛であるとか。その頃はいわゆる「傑作の森」といわれる時期を越えた円熟の時期でもあるのだが、「皇帝」協奏曲のほか「告別」ソナタ、あるいは弦楽四重奏曲「ハープ」など現在まで愛好される傑作群を楽聖は残している(この3曲はいずれも♭3つという変ホ長調で書かれていることがポイントである)。そう、モーツァルトが「魔笛」のために選んだ「変ホ」は三位一体、調和の調性なのである。当時のベートーヴェンは厳しい社会情勢にありながらも、あるいは精神的に追い詰められた状態にありながらも心の内はとても充実していた時期なのだろう。

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第10番変ホ長調作品74「ハープ」
アルバン・ベルク四重奏団

久しぶりにABQのベートーヴェンを聴いた。それも30年前に録音した旧盤でだ。直截的で現代的なベートーヴェン。あまりにアカデミック過ぎるきらいはややあれど、最も安心して聴ける演奏がこれ。いかにも作曲家の心の充実度が伺える音楽であり、演奏である。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
>ちょうど2週間ほどどうも「疲れ」が身体にきていた。
健康管理には人一倍留意されておられるとはいっても、超ご多忙でしょうから、お体にはくれぐれも気をつけて下さいね。
>「月」が地球や人間に影響を与えているのは既知の事実
そういえば、今年の7月22日、日本では大規模な日食がありますね。
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/
東京や名古屋でも、かなり欠けますから、真夏の炎天下を月が遮る天文イベント、楽しみです。我々には、いったいどんな影響があるのでしょうね?
「ハープ」、いい曲ですね。
ABQのベートーヴェンは、私は今でも理想です。
こういうのを聴くと、ピリオド奏法の演奏家は、いったいいつまでも何をやっているんだという思いが強くなります。早くABQを超える、ベートーヴェンで万人を納得させられる、ピリオド奏法の新時代を牽引するカルテットが出てきて欲しいものですね。もっともっと従来のピリオド奏法の常識を覆す、斬新かつ深い表現力を伴って・・・。

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岡本 浩和

>雅之様
ありがとうございます。健康第一ですものね。
どうやらこういう影響もあるようです。↓
http://diviner.cocolog-nifty.com/holy/2009/05/5-5f9d.html
>今年の7月22日、日本では大規模な日食がありますね。
これは楽しみですね。凄そうですね。雨にならないことを祈ります。前回2008年8月1日の日食については下記に詳しく書かれています。上記と同じふじたさんのサイトですが。
http://diviner.cocolog-nifty.com/holy/files/200881.pdf
>早くABQを超える、ベートーヴェンで万人を納得させられる、ピリオド奏法の新時代を牽引するカルテットが出てきて欲しいものですね。
おっしゃるとおりです。

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