オランダ・フェスティヴァル50年のハイライト 20世紀の国際的作曲家の音楽(1955-96Live)

19世紀のウィーンでは、ロッシーニの喜歌劇の外向的な輝きが、ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲の謎めいた内向性に相反するものと判断された。作曲はこうした解決不能の永遠の論争によってはじめて、力を得ることができる。中心から外れた文化のなかで、作曲は一種の後見人的な役割を果たす機会を得ている。過去のすべてを吸収してきているので、何であれ新しいものを吸収できるのだ。
アレックス・ロス著/柿沼敏江訳「20世紀を語る音楽2」(みすず書房)P571-572

賛あれば否あり。世界が正負のバランスでできていることの証でもある。

オランダ・フェスティヴァル50年のハイライトから「20世紀の国際的作曲家の音楽」。

20世紀の国際的作曲家の音楽
・ブリテン:歌劇「ねじの回転」作品54(1954)~第1幕第7変奏(第8場)(1955.7.13Live)
ピーター・ピアーズ(クィント、テノール)
デヴィッド・ヘミングス(マイルズ、ボーイ・ソプラノ)
アルダ・マンディキアン(ジェスル嬢、ソプラノ)
オリーヴ・ダイアー(フローラ、ソプラノ)
ジェニファー・ヴィヴィアン(家庭教師、ソプラノ)
ロッテ・メダク(グロス夫人、ソプラノ)
ベンジャミン・ブリテン指揮イギリス・オペラ・グループ管弦楽団
・ベリオ:静寂(ブルーノ・マデルナ追悼のために)(1973)(1974.6.28Live)
キャシー・バーベリアン(ソプラノ)
ルチアーノ・ベリオ指揮ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団員
・ノーノ:チェーザレ・パヴェーゼの「大地の死」による歌「優しい沈黙」(1960)(1979.6.6Live)
ジョン・オールディス指揮ジョン・オールディス合唱団
・クセナキス:アネモエサ(1979)(1979.6.16Live)
オランダ放送合唱団
リチャード・ダファロ指揮オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団
・ブーレーズ:アンシーズ(1993 進行中の作品)(1996.6.21Live)
フローレン・ボッファール(ピアノ)
・ウストヴォルスカヤ:コンポジション第3番(1975)(1989.6.17Live)
ハインツ・フリーゼン指揮アムステルダム管楽オーケストラ
・ヴィヴィエ:声楽とアンサンブルのための「あなたは魂の不滅を信じますか?」(1983未完)(1995.6.3Live)
スーザン・ナルッキ(ソプラノ)
タニー・ウィレムスティーン(ソプラノ)
イレーネ・メッセン(ソプラノ)
イヴォンヌ・ベンショップ(メゾソプラノ)
ニーネ・ファン・ストリエン(メゾソプラノ)
ヘレナ・ラスカー(コントラルト)
ペーター・ホール(テノール)
ブルース・セラーズ(テノール)
マルセル・ビークマン(テノール)
デイヴィッド・バリック(バリトン)
ジェームズ・オッタウェイ(バリトン)
ハリー・ファン・デル・カンプ(バス)
ヨハン・レイセン(ナレーション)
ラインベルト・デ・レーウ指揮ASKOアンサンブル&シェーンベルク・アンサンブル
・グオ・ウェンジン:インスクリプションズ・オン・ボーン(1996)
アンナ・ラーソン(コントラルト)
エド・スパンヤード指揮ニユー・アンサンブル(1996.6.11Live)
・マウリシオ・カーゲル:タンゴ・アルマン(1977/78)(1985.6.22Live)
マウリシオ・カーゲル(ヴォーカル)
ヴェラ・ベス(ヴァイオリン)
ミエ・ミキ(アコーディオン)
ラインベルト・デ・レーウ(ピアノ)

初耳の作品の多い中、20世紀のいわゆる現代音楽の、ライヴならではの熱を実感する。音楽というものが、作曲家と作品と、演奏者と聴衆の三位一体によってこそのものだということをあらためて痛感するのである。

作曲家たちはポピュラー音楽の作曲家にただちに対抗することはできないかもしれないが、孤独という自由を得て、独自の強度を持つ経験を伝えることができる。大形式を展開し、複雑な楽器編成を用い、ノイズから沈黙まで幅広い領域を横断することによって、作曲家たちはクロード・ドビュッシーがかつて「想像上の国、すなわち地図上には見つけられない国」と呼んだものに至る道を示すのである。
~同上書P572

もはややり尽くした感のある世界の中で果たして音楽の挑戦は今後どこまで拡がっていくのだろうか? それにしてもいまだ知らぬ作曲家の創造力の光輝さよ。抜粋とはいえ充実の1枚。

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