アルゲリッチのバッハ

「第13回早わかりクラシック音楽講座」無事終了。毎月開催するたびに参加いただける皆様のお陰だと実感でき、いつも新たな発見や気づきがあることがとても大きい。今回は無謀にもJ.S.バッハをとりあげると決め、直前まで頭を悩ませてくれたものの、いざ講習を始めると意外にすんなりと進めることができ、我ながら腕も上がってきたのかな、と自画自賛・・・。今回初めて参加いただいたMさんには「先生みたいですね」と感想をいただいたのだが、やっぱり「先生だよな」ってこれまた改めて自覚した次第。人に何かを教えるって楽しいし、何よりクラシック音楽の妙味を知っていただけるだけで僕はとても嬉しいのです。

J.S.バッハは深遠である。特に、ケーテン宮廷楽団長時代(1717~1723)に産み出した数々の世俗音楽(器楽曲)は各々が個性的な楽曲で、一人の人間が創り上げたとは到底思えない完成度を誇っている。中でも無伴奏の器楽曲-無伴奏チェロ組曲、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ、無伴奏フルート・ソナタ-は魂に直接響く、すべての「我欲」を削ぎ落としたストイックな神懸かり的音楽で、この3点を残したという事実だけでも音楽史上の奇跡に近いと僕は思う。

J.S.バッハ:パルティータ第2番ハ短調BWV826
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

巨匠アルゲリッチが1980年頃に録音したバッハ・アルバムは今聴いても格別の出来で、バッハの全てを余すところなく伝えてくれる傑作だと確信する(またこのジャケットの彼女のこぼれんばかりの笑みと撮影の角度がたまらなくいい。カメラマンのセンス抜群だ)。2000年だったか、久しぶりに彼女がソロ・ピアニストとしてサントリーホールにて登場したときは感涙モノであった。その時も確かこのパルティータを演奏してくれたと記憶するのだが、これも言葉にするのが難しく、とにかく美しい絶品だったことは間違いない。
その後アルゲリッチがソロで演奏したという噂は聞かないが、最近はどうなのだろう?
別府の音楽祭ではひょっとするとソロをやっているのかもしれないが、少なくとも東京の聴衆の前ではそれ以来やってないのではなかろうか・・・。ネルソン・フレイレとのデュオやオーケストラとの協演は聴いたが、やっぱりソロをやって欲しいと切に願う。何やら体調もあまり思わしくないようで、一人で舞台に出てくるのはリスクがあるのかもしれないが・・・。

そういえばしばらくアルバムも出してないのかな・・・(いや、ショスタコーヴィチのアルバムを出していたな。あれは名演だった・・・)。

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