異常な緊張感

ソ連の映画監督、アンドレイ・タルコフスキーが自身の遺作「サクリファイス」について語った記事が残されている。彼が「サクリファイス」という映画を生み出そうとした理由がそこには語られている。要約すると、
「今日世界はもっぱら物質的な面で発展を遂げている。その進化は霊的なものと真反対の方向に向かっている。しかしながら、私たちは霊的な発達を目指さない限り、生きることはできない。自分の宇宙が矮小化し、その調和が破壊されるなら、もはや人には生き続ける理由がない。」そして、「物質が荒廃しても生き延びられるが、精神が荒廃すると人間性は滅びる」という考えから映画の中で「自己犠牲をなすことのできる人間」を提示したということだ。

20年ほど前の公開時に観たときには難解でさっぱり理解できなかった。しかし、主人公のアレクサンデルが一人静かにステレオ装置で聴いていた日本風の音楽(尺八か)については妙に当時から気になっていた。数年前、そのアレクサンデルがまさに映画の中で聴いていたレコード(CD化されているが)を手に入れ、一聴したときの「驚きと感動」はいかばかりのものだったか・・・。

海童道宗祖(わたづみどうそ):神秘の竹の音-前衛と古典

これはやばいです。そしてすごいです。神懸かっております。おすすめです!特に「霊慕(れいぼ)」と題する16分に及ぶ1曲目。「万物は流転して常に変化を繰り返すが、かくも変化を繰り返しながら、大自然そのものの姿は相変わることがない、とする宇宙の霊性(こころ)を体達して、個々にあらわされた調べ」だということ。

厳密には尺八ではなく法竹(ほっちく)という1本の楽器が奏でるのだが、海童道は自身の哲理を竹笛という管を通して表現し、こころの探求体達を旨とするらしい。

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