鑑識眼

独特の鑑定眼をもち、小林秀雄や中原中也など多くの文人たちとの交友を楽しんだ青山二郎。骨董の鑑定家として有名でとうとう一生職業に就かなかった所謂「高等遊民」。今の時代ならフリーターになってしまうところだが、羨ましき哉それも古き良き時代。いずれにせよどんなことでも傑出している「何か」を持っているとそれは「強み」であるといえる。

ところで、ブラームスの永遠の恋人であったクララはロベルト・シューマン未亡人。シューマンは有名な作曲家だが、今でいうところの音楽評論家の“はしり”のような存在でもあり、19世紀前半の音楽界において重要な役割を果たした。1831年当時、ドイツの楽壇においては無名の存在であったショパンを「一般音楽時報」という誌面で取り上げ、「諸君、帽子をとりたまえ、天才だ」という言葉で有名な評論を残している。そして、約20年経った最後の発表となる評論でも、やはり名も無き新人ヨハネス・ブラームスを世に送り出している。彼の鑑識眼は相当なものであるという証である。

そのシューマンが1838年、ウィーンのシューベルトの家を訪れた際、発見したのが「大ハ長調」といわれる交響曲。

シューベルト:交響曲第9番ハ長調「グレート」D944
ジョス・ファン・インマゼール指揮アニマ・エテルナ交響楽団

一昔前有名なフルトヴェングラー盤で初めてこの曲を聴いたときは大変に感動した。しかし、シューベルトの曲は基本的にどの曲もそうなのだが、やたらに歌謡的でかつ展開がおそろしいほど長く、忍耐強い僕でも飽きてしまう(そもそも音楽自体我慢しながら聴くものでもないし・・・)。ただし、インマゼール盤は古楽器奏法を主体にしており、テンポも軽快で耳に心地よくおすすめである。

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