2台のピアノ

ブラームスはロマンティストである。
子供の頃、作曲者が誰かなど全く知らず「ハンガリー舞曲第5番」を好きで聴いていた。大人になるにつれ趣味で古典音楽を聴くようになり、当初はモーツァルトやショパンに夢中になっていたっけ・・・。そのうち作曲家よりも指揮者やピアニストなど演奏する側に興味を持つようになり、高校生の頃は相当フルトヴェングラーにかぶれていた。どんな曲でもフルトヴェングラーが一番で、彼に敵う指揮者はいないと確信していた。

そんな中、フルトヴェングラーのブラ1を聴き、ブラームスに再会したのである。しかし、久しぶりのブラームスは僕にはそっけなかった。第1楽章の序奏の部分から妙に重苦しく、暗い。2楽章以降はそうでもないのだが、とにかく第1楽章の序奏が理解できない、というか気に入らない。フルトヴェングラーが振ろうがどうしようが、とにかくその時の僕にはお手上げだった。
ところが、しばらく後「終楽章の第1テーマ」が既知のフレーズであることを「発見」し、それ以降は愛聴する楽曲リストの筆頭に入るようになった。

久しぶりに、ブラームスの第1交響曲を聴く。しかも、ブラームス自身が編曲した2台ピアノ版で。

ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68(2台ピアノ・オリジナル版)
トーヴェ・ロンスコフ&ロドルフォ・ランビアス(ピアノ)

ここ最近、ピアノ・デュオに縁がある。
しかし、楽器を弾けない自分にはよくわからないが、ピアノのデュオっていうのは相当難しいのではないだろうか。
勝手に批評的に言及させてもらうと、アシュケナージが前に誰だかとやった「ハルサイ」の音盤とか退屈でそう何度も聴いていられない。また、2年ほど前だったか、アルゲリッチ&フレイレのデュオ・コンサートをサントリーホールで聴いた時も周りの聴衆ほどは正直感動できなかった。今日聴いているこのブラームスも然りである。オーケストラの持つ色彩を2台ピアノで表現しきろうということ自体土台無理なのかもしれない。あくまで、録音手段がなかった当時、一般市民が著名な作曲家の交響曲などに触れる機会にと、作曲家が気を利かせて創作したバージョンなのだろう。
せっかくだからいつの日か刺激的なピアノ・デュオを聴いてみたいものである。

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